第251話 Innocent proof ページ10
ルカはわなわなと震えるだけで、何も言葉を発することが出来なかった。
(練紅炎たちは責任逃れのために口裏を合わせているのかもしれない。だが───、)
目の前の二人の皇子の真剣な瞳を見るに、嘘をついているとは到底思えない。
隣に座って黙って話を聞いていたマリアは、長年の誤解が解け、困惑しているルカの顔を、不安そうに見つめていた。
そして──、
「紅明おにいさんたちは、うそついてないよ」
扉の外から声が聞こえ、会議室の中に光り輝く水晶玉を持った水色の髪の少女が入ってきた。
その姿を見た紅明が、咄嗟に声を上げる。
「メイ殿!?」
戦闘が終わって以来、二人が会うのは初めてだった。
もちろん、マリアが倒れてそれどころでは無かったのもあるが───、
今回の戦闘の種は、元はといえばフィアの居場所をマリーナ王国に密告した紅明の発言である。そのせいでメイは紅明に対して不信感を抱き、また終盤戦では、メイが神晶ミラスを使って紅炎の記憶を無理矢理呼び起こした事で紅明と口論になってしまった。それらが原因で気まずくなり、二人はまともに顔を合わせる事が出来なかったのだ。
メイは少しだけ紅明に目を留めたが、すぐにルカの方に向き直り言った。
「ごめんね。ぐうぜん廊下をとおりかかって、ルカたちの話がきこえてきたから、気になって立ち聞きしちゃったの。それで、おにいさんたちが本当のことをいってるのか、ミラスにきいてみたら……紅明おにいさんたちは、1つもうそをついてなかった」
神晶ミラスの占いは百発百中。メイの行動により、紅炎たちの無実が証明された。
会議室がしん、と静まり返る。
ルカはがくんと項垂れ、力のない声でぽつりと呟いた。
「………
では、あの時兄さんの前に立ちはだかったのは……誰だ……? 誰が兄さんにあれほどの傷を与えたんだ……!?
は、はは……私は今まで、何のために怨みを抱えて………」
よたよたと壁にもたれかかり、渇いた笑いをこぼしていたルカだったが、突然、扉の前に立っていたメイの横をすり抜け、部屋を出て行ってしまった。
「ルカ!!」
後を追いかけようとするマリアを、紅明が制す。
「今は、彼女も混乱しているでしょう。一人にしてあげるべきです」
「でもっ……!」
「いつも側にいるだけが、仲間というわけでは無いぞ」
紅炎の説得力のあるその言葉を聞いて、困惑していたマリアは黙り込んだ。
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ちぇりい(プロフ) - ネコ2世さん» ありがとうございます!!!マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです! 頑張って完結させますね!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました!美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります! (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか? (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (*∀*)ノさん» コメントすごく嬉しいです!!ありがとうございます!! 大好きになっていただけてかなり嬉しいです! 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2018年3月30日 16時