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第250話 “あの日”の真相 ページ9

「私も証言いたします。兄王様とその眷族達は、戦場には一切行っておりません。青秀が言った通り、私や忠雲と共に、本部にて戦況の報告を受けていただけです」

紅明が真っ直ぐな瞳でそう告げるが、ルカは首を横に振って取り乱した。

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!!!!
私は、全身に怪我をして動けなくなった兄さんの口から聞いたんだ! 戦いの最中に練紅炎とその眷族たちに出くわしたと。仲間も共に戦ってくれたが、全員殺されてしまったと。

そうだ! 証拠なら他にもある! 私がお前たちの詰め所に奇襲を仕掛けた時、練紅炎、お前は確かに言っていた。私が持っている槍が、反乱を起こしたリプニア王国の男の物だと。
…どうだ。これでもう言い逃れは出来ないぞ。お前達はあの時兄さんと戦って深手を負わせた。そして他の反乱軍の仲間と一緒に無惨に処刑したんだ!」

「確かに、俺はお前の槍を知っていた。煌がリプニア王国に攻めいる前、国境での反乱軍の猛攻の際に、リーダーであるお前の兄が持っていると資料付きで報告を受けていたからな。だが、俺が実際に目撃したわけではない」

「……!?」
混乱し、目を見開くルカ。
紅明が続く。

「リプニア王国に攻め入った6年前──、私たちの父・紅徳帝の政治は苛烈でした。今の煌は他国を戦火で侵す様な真似はしていませんが、あの頃はまだ白徳大帝が亡くなったばかりで国内が混乱していたため、国民に威信を示すためにも、領土をいち早く拡大する必要がありました。そのために兄王様が西征総督に任命されましたが、当時はまだ肩書きのみでした。

実際、西方の国々に進出する初めの拠点として、リプニア王国を選び、内政に干渉し追い込んだのは──アル・サーメンの者たちです」


「あの頃の俺にはまだ発言権がなかった。組織の者たちはそれを良いことに、煌を思いのままに動かし、他国の政治に口を出していた。
反乱の際も、首謀者は西征総督という名目上は俺だったが、上からの指示をそのまま軍に通達していただけで、実際戦を指揮していたのはアル・サーメンの者たちだ。反乱に関わった者たちを全員惨たらしく処刑したのも、奴らだ」

……今はなんとか権威を取り戻し、兵たちの信望を一番に集めているのはこの俺だ。だが、もう少し早く組織の者どもを押さえていれば……『煌は戦火を広げ他国の領土を侵す侵略国家』という印象が定着するのを防げたかもしれんな」

紅炎は言い終えると、ふう、と深いため息をつき悩ましげに遠くを見つめた。

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 歌姫   
作品ジャンル:アニメ
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ちぇりい(プロフ) - ネコ2世さん» ありがとうございます!!!マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです! 頑張って完結させますね!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました!美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります! (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか? (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (*∀*)ノさん» コメントすごく嬉しいです!!ありがとうございます!! 大好きになっていただけてかなり嬉しいです! 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぇりい | 作成日時:2018年3月30日 16時

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