第285話 初めての笑顔 ページ45
李青秀はしばしの間考え込んでいたが、やがて何か思い出したようだ。
「あ!そういやアイツ、すげえ重要な種明かししやがった!
6年前のリプニアとの戦争の時、アル・サーメンの奴らが紅炎殿や俺ら眷族の偽物を魔法で作って、暴れ回ってたらしいです。だからルカちゃんの兄ちゃんや仲間は、俺らに殺された事になってたんだと思います」
青秀がルカの方をちらりと気遣いながら言う。
ルカは驚愕の表情を浮かべ、悔しそうに俯いていた。
練紅炎はただならぬ殺気を身に纏わせている。
「ほう…。俺たちの偽物を使うとは良い度胸だな。本国に戻ったらじっくりと話を聞いてやるとしよう」
「これ以上彼らを野放しには出来ませんね。我々も何か手を打たねば」
と、深刻な面持ちで呟く紅明。
「フィアからは何か報告ある?」
トラルークから話を振られ、フィアも先程の青秀と同じく自信がなさそうに目を泳がせていたが、
「……あ、そういえばまた新たな黒の王の器を育てるとか言ってたわ。もう目星はついてるって」
と、答えた。
「!!! それ、誰とか言ってた!?」
マリアが身を乗り出す。
「ごめん。聞く前にムカついて殺しちゃった……」
フィアがばつが悪そうにそう言うと、練紅炎は深いため息をついた。
「…全く。お前たち馬鹿だけに行かせるべきでは無かったな。まあ、今回の騒動の元凶を始末できたのだから良しとするか。ご苦労であった。」
「仕事も溜まっていますし、我々は今日中にアステラス王国を発ちます」
練紅明のその言葉で、報告会はお開きとなった。
会議室を出て、廊下を歩いていた練紅炎たちの背中を、黒髪の戦士・ルカが一人で追いかける。
「青秀!!」
想い人に突如名前を呼び止められ、蛇男はどきりとして振り返った。
「ル、ルカちゃん…?」
紅炎や紅明、他の従者達は空気を読んで先に進んでいった。
廊下で二人きりになり、緊張感が走る。
ルカはもじもじしながら口を開いた。
「青秀…改めて謝罪をさせてくれ。兄さんや昔の仲間を殺したのはお前たちだとずっと思い込んでいたし…私はその、蛇が苦手だったから、お前に失礼な態度ばかり取ってしまった。でもお前は、堕天した私と真っ向から向き合ってくれた。
今まですまなかった。そして……ありがとう」
そう言って、ルカは今までに青秀に見せたことの無い満面の笑顔を見せた。
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ちぇりい(プロフ) - ネコ2世さん» ありがとうございます!!!マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです! 頑張って完結させますね!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました!美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります! (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか? (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (*∀*)ノさん» コメントすごく嬉しいです!!ありがとうございます!! 大好きになっていただけてかなり嬉しいです! 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2018年3月30日 16時