第275話 わたしのいばしょ ページ34
「え?」
「村でたくさんの人が死んで、びんぼうになったとき、わたしとおなじように、村をたてなおすためにでかせぎにいった人がたくさんいるんだよ!
わたしの村はね、みんななかよしでとても楽しい村だったの!! だから、きっともうすぐみんな村にもどって、またしあわせな村をつくり直すの! そのときのために、いつだれがかえってきてもいいように、わたしはお金とお手紙をおくりつづけてるんだ!!」
いつものようにキラキラとした笑顔を浮かべて、楽しげに話すメイを見て、レイラは安心し、穏やかな気持ちになった。
少女の小さな手を取り、微笑みかける。
「そうだったのね。
メイちゃんのその気持ちがあれば、きっと村は再興できるわ。私もお手伝いする!」
「ほんとう!? ありがとう、レイラ!!」
メイは、嬉しそうに目を輝かせた。
ずっと前から気になっていた問題が解決し、レイラは、ほっと胸を撫で下ろした。
(よかった。私の考えすぎだったみたいね。もし、メイちゃんの心に闇があるようなら、それを取り除いてあげる必要があったのだけれど……前向きに村の事を考えての行動だったのね。
そうよ。メイちゃんは誰よりも純粋で明るくて優しい子よ。この子のそういう部分が陰ることなんて、あるわけないわよね。もっと早く確かめればよかったわ)
◇◇◇
メイはレイラの見舞いを終えると、ふらふらと城の廊下を歩いていた。どこを目指しているのかは、彼女にもわからない。
(やっぱりちがう…
レイラとはなせば、前のわたしにもどれるとおもったのに……
村がなくなったこと、知ってたのはほんとう。
でも、だれかが村にもどってきてくれる、なんておもってない。ただ、お手紙とお金をおくるのをやめたら、わたしができることが何もなくなっちゃうんじゃないかとおもって、こわいからつづけてるだけ。
うそ…ついちゃったな。
レイラは、わたしのことを明るいとおもってるから…こんな弱いわたしを知られたら、きっときらわれちゃう。
わたしのいばしょ、なくなっちゃうもん)
「メイ様、どうかなされたのですか!?」
「体調が優れないとか?」
下を向いて歩いているメイに、城の使用人たちが声をかける。
メイは潤んだ水色の瞳をごしごしと擦ると、
「ううん!なんでもないよ! わたし、元気だよー!!」
彼らにいつも通りの無邪気な笑顔を見せた。
心の奥に挫けそうな脆い自分をそっと閉じ込めて。
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ちぇりい(プロフ) - ネコ2世さん» ありがとうございます!!!マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです! 頑張って完結させますね!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました!美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります! (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか? (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (*∀*)ノさん» コメントすごく嬉しいです!!ありがとうございます!! 大好きになっていただけてかなり嬉しいです! 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2018年3月30日 16時