第270話 マリアキキイッパツ ページ29
やがてマリアは、雪の中にボスッとうつ伏せに倒れた。
だんだんと意識が遠のいていく。
(私…ここで死ぬのかな……)
「グガアアアアアアァァッ！！！！」
突然、すぐ近くで獣の凄まじい咆哮が聞こえた。
マリアがぼんやりとした目を見開き、ハッと顔を上げると、目の前に巨大な熊が仁王立ちして、こちらを見下ろしていた。
「え……う、嘘……」
本気で死を悟った少女は、体を起こして逃げようとするも、恐怖と寒さで足がすくんで動けない。それを嘲笑うかのように熊はグルルル…と涎を垂らしながら牙を剥き出しにして、マリアに襲いかかってきた。
「だ、だ、だだだ、誰か助け……いや……
紅炎さん！！！！」
自分でもわからないが、なぜか咄嗟に口から彼の名が出ていた。
あんなに怖いと思っていたのに、いつの間にか彼のことを頼りにしてしまっていた。もしも一人でこんな所に飛ばされていたら、不安で何もできなかったであろう。無意識に紅炎の存在が助けになっていたことは事実だ。なのに、生意気なことを言って喧嘩別れしてしまった。
(私、あの人のことを理解しようともしてなくて、勝手に怒って自分の意見を言っただけ…
私って本当、だめだなあ…子どもだなあ……
今までだってそうだったのかも。
具体的にどうするかもわからないのに、「国を変える」とか「みんなを幸せにする」なんて言ってアステラス王国の人たちを引っ張ろうとして…
それを、周りのみんながフォローしてくれてただけなんだ。
こんなので女王やってたなんて……みんな、ごめんね…)
獣の牙がマリアの頭を食いちぎろうとしたその瞬間。
熊の体が縦に一刀両断され、断面から凄まじい量の血飛沫が舞い、その体は雪の中に埋もれた。白い雪は、みるみるうちに赤く染まっていく。
マリアは、熊の後ろに立っていた人物の名を、震える声で呼んだ。
「こ、紅炎さん…！？」
いつも通りの無表情の紅炎は血まみれの刀を嫌そうな顔で見て、布で汚れを拭き取ると、鞘の中に納めた。
「た、助けにきてくれたんですか…？」
マリアが目をぱちぱちさせながら尋ねる。
紅炎はそっぽを向いて素っ気なく答えた。
「今日の昼飯を追いかけていたら偶然ここに辿り着いただけだ。だが、この分なら夜も食べられそうだな」
「追いかけていた！？熊をですか！？」
「そうだ。最初はこいつが俺を襲おうとしてきたのだが、少し威嚇したら逃げていったのだ。さっきの叫びでお前が居場所を教えてくれたから助かったぞ」
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ちぇりい(プロフ) - ネコ２世さん» ありがとうございます！！！マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです！ 頑張って完結させますね！！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります！！ (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ２世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました！美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります！ (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか？ (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (＊∀＊)ノさん» コメントすごく嬉しいです！！ありがとうございます！！ 大好きになっていただけてかなり嬉しいです！ 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2018年3月30日 16時
