第262話 届かない思い ページ21
レイラは臨戦態勢のルカを止めようと、慌てて説得を続ける。
「ちょ、ちょっと待って。それなら、もうあなたが煌帝国を怨む理由はなくなったってことよね?
あなたはやっと苦しみから解放されたのよ? このままアステラス王国で戦士を続けてもいいし、全部辞めて、普通の女の子として生活してもいい。それなのにどうして堕天してしまったの? なんでこんな事するのよ!!」
「何を言う。今まで復讐の為に生きてきたんだ。それが今更なくなってしまったら…もう私には何も無い。生きている意味など無い。
だからこの世の何もかもを壊せるだけ壊して、運命を怨みながら死んでやる」
そう言って少し悲しげな表情をしたルカを見ると、レイラは首を振り、彼女に近づいた。
「あなたには何もなくなんかない!! ルカ、あなたは良い子よ。真面目で、努力家で、いつも一生懸命で……私に色んなことを教えてくれた。一人では得られない、色んなものを与えてくれた。
あなたなら、必ず幸せになれるわ。約束する。これからもずっとそばで見守っててあげるから。私を信じて!!」
「っ……」
レイラの真っ直ぐな言葉を聞いて、少し心が揺らいだルカだったが、それを取り払うかのように槍を振り回した。
「お前の事など、誰が信じるか!! 嘘をついていたくせに!!!」
棘が付いた巨大な鉄球が、レイラの頭部を掠める。
「うっ……!!」
「レイラ!!」
衝撃でよろめいて倒れた仲間に、フィアが泣きそうな声を上げて駆け寄る。
レイラは、力ない声でルカに問う。
「嘘……? なんの、こと……?」
「マリーナ王国と煌との戦闘の時に、練紅炎が言っていたではないか。
レイラ、お前はアステラス王国で栄えていた大商家の娘なのだろう? 私達には、スラムで生まれたと嘘を吐いていたくせに。何故だ? どうして本当の事を言わなかった!?」
「それは……っ」
ルカに責め立てられると、レイラは目を伏して口ごもった。
「嘘を言う人間の言う事など信用出来るわけがないだろう。危うく騙されるところだった」
ルカは再び瞳を黒く濁らせ、冷たい表情でレイラを見下ろしていた。
(違う…違うのよ、ルカ……私は……っ)
レイラは地面に手をつき、何とか立ち上がろうとするも、頭部に鈍い痛みが走り、また倒れてしまった。
ポタポタと流れ落ち、芝生を赤く濡らしていく自身の血を、ぼうっと見ていた。
(さすが、神具最大の破壊力を持つ神槍ダスカロンね…掠っただけでも、もう意識が…)
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ちぇりい(プロフ) - ネコ2世さん» ありがとうございます!!!マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです! 頑張って完結させますね!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります!! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました!美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります! (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか? (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (*∀*)ノさん» コメントすごく嬉しいです!!ありがとうございます!! 大好きになっていただけてかなり嬉しいです! 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2018年3月30日 16時