第253話 破滅への誘い ページ12
ルカはおぼつかない足取りで、ふらふらと中庭を歩いていた。
(兄さんが死んだのは、練紅炎達のせいではなかった…
ならばあの戦争の際、兄さんの前に現れたのは一体誰なんだ……！？
──あの日から、ずっと私は復讐の為だけに生きてきた。だが、全て無駄だった。もしも怨みを抱えていなければ、もう少し早く真実を知っていれば…何のしがらみもなく、自由に生きられたかもしれない。私の人生は、一体何だったんだ……)
じりじりと忍び寄ってくる絶望と虚無に耐えきれなくなり、黒髪の少女は目を伏せ、草むらに座り込んだ。
「ルカちゃん！？ 大丈夫！？」
頭上に大きな影が被さり、響きの良い男の声が聞こえたので、ルカが顔を上げる。
うねうねと動く蛇と同化した髪を持つ青年──、李青秀が心配そうにこちらを見下ろしていた。
「………！ 青秀」
いつもなら冷たくあしらうか無視をするかのどちらかだが、ルカは気力のない瞳でぼうっと男を見つめるだけだった。
(こいつは、兄さんの死には全く関わっていない。もう、憎む理由も無いという事か……。しかし、どう接して良いものか…)
ルカはふう、とため息をついて、とりあえず男に尋ねてみる。
「…何をしに来たんだ？ 紅炎達の護衛か？」
「あっ、えーと、それはそうなんだけど、俺さ……」
少女の口調が今までよりも大分柔らかくなっている事に気づき、青秀が戸惑いながらも返答しようとすると───、
「おやおや、これは珍しい。宿敵同士であるはずのアステラス王国の戦士殿と、紅炎様の眷族の御方が一緒におられるとは」
突然、二人の前に顔を布で覆い、頭に茨の飾りを巻き付けた怪しい男が現れた。
「あ？ 組織の奴じゃねえか。何でこの国に居やがるんだ？」
青秀が睨み付けると、男は両手を大きく広げた。
「我らが父の導きにより、黒き王の器を迎えに来たのです」
すると、その手のひらから黒い靄が立ちのぼり、ルカの周りに集まったかと思うと、あっという間に彼女の周囲をドーム状に覆ってしまった。
叫びを上げる間もなく、ルカは闇の中に囚われた。
青秀はドーム状の黒い壁を叩くが、びくともしない。
「なっ…ルカちゃん！？ おい、てめえ何しやがる！！！！」
「私の役目はここまでです。あとは黒ルフが存分に彼女の心を暗黒に染め上げてくれるでしょう。
──全ては、アル・サーメンの
男が高らかにそう告げると、その姿は霧となって消えた。
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ちぇりい(プロフ) - ネコ２世さん» ありがとうございます！！！マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです！ 頑張って完結させますね！！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります！！ (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ２世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました！美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります！ (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか？ (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (＊∀＊)ノさん» コメントすごく嬉しいです！！ありがとうございます！！ 大好きになっていただけてかなり嬉しいです！ 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2018年3月30日 16時
