第32話 それぞれの思い ページ41
ターリンの街での選挙活動で成功を収めたマリアたちは、すっかり士気を上げ、次の街に向かった。
ところが、そこはターリンとは違い、酷く貧しい街だったので、選挙活動をしても誰も話を聞いてくれる者はいなかった。ガリガリに痩せこけた人々は、虚ろな目で天を仰ぎながらマリアたちの前を通りすぎて行くだけだ。
街頭演説が終わると、皆しょんぼりして宿舎へと戻った。
「だれもおはなし、きいてくれなかったねぇ〜…」
「ターリンの街が景気が良すぎたようだな。あのような街は国内に数える程度しかない。
皆生きていくのに精一杯で、余裕が無いのだろう」
◇◇◇
それからも一行は色々な街や村を回り、必死にマリアへの投票を呼び掛けたが、良い反応は得られなかった。
もう選挙活動期間は今日で終わってしまったので、マリアたちは馬車の中で荷造りを進めていた。今からアステラス王国の首都、サンベルクへ向かう。いよいよ明日、多くの民衆の前での最終演説と投票が行われるのだ。
「明日に賭けるしかないな。マリア、演説は頭に入っているか?」
「うん、大丈夫なはず…だけど…
国中の人の前に立つなんて、緊張するよ…
それに明日は、煌帝国の人も見に来るんでしょ? なんか怖いなぁ…」
マリアがそう言うと、ルカが顔をしかめ、拳を握り締めた。レイラはそんな彼女を不安そうに見つめる。
「ルカ、わかってると思うけど…」
「心配するな、マリア。何かあっても私たちが必ず守る」
「? あ、ありがとう…」
レイラの言葉を遮ったルカを、マリアは一瞬不思議に思ったが、素直に礼を言った。
「よし。では、そろそろサンベルクに向けて出発するぞ。皆、準備は良いか?」
「はーい!」「当たり前でしょ!」
「…ええ」「うん!」
皆がそれぞれに返事をすると、ルカは満足げに頷き、馬の手綱を引いた。
同時刻、アステラス王国選挙管理委員会対策本部。
「いよいよ明日ですね。兄王様」
「何が『いよいよ』だ。どうせ今までと同じ、薄っぺらい選挙だろう。あんな眠くなるような演説を聞くくらいなら、俺は歴史書を読みたい」
「…相変わらずですね」
練兄弟二人が仲良く駄弁っていると、紅炎の眷族4人と、紅明の眷族である忠雲がやってきた。
「紅炎様、明日の護衛はバッチリ俺らにお任せください!」
髪の毛が蛇の李青秀が、得意気に言う。
「でしゃばるな。この蛇ガキが!」 バシッ
「いてっ! いてーっす楽禁殿!」
皆、それぞれの思いを胸に、夜はふけていった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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- 健康運: ★★★★★
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです! (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます! 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします! (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです!続き楽しみです!頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい! 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます! (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年3月1日 9時