第24話 守るべきもの ページ28
マーサの話を聞いて、マリアはハッとした。
確かに、今のアステラス王国の現状は酷い。今この瞬間も、多くの国民が飢えや疫病で命を落としている。マーサの言う通り、煌の傘下に入れば、たくさんの人々が必要最低限の生活を保障してもらえる。
だが、マリアの意志は揺らがなかった。
「…それでも、煌に押さえつけられながら生きていくなんて、本当の幸せじゃありません。私が、私たちが、煌帝国に頼らなくても、アステラス王国の国民を幸せにしてみせます!! 私たちはこの国の伝統と誇りを守りたいんです」
マリアは、だんだん感覚が無くなっていく体を支えながら、何とか自分の思いを最後までぶつけた。
だが、マーサはただ首を横に振るだけだ。
「…わかってない。全然わかってないよマリア。
それで失敗したら、どうすんの? この国がもし今より酷くなったら、責任取れんの? 処刑される覚悟、あるの?」
「……」
「ほらね。
ここ一月くらい、マリアを見てきてわかった。あんたには覚悟がない。それに、優しすぎる。国の代表になるなら、煌やルビソンみたいに汚い手も使わないといけない。あんたにはそれが出来ない。それじゃ王として生きていくのは難しいよ。
…ここで死んだ方が、きっと楽だと思う」
マーサはあっという間に距離を詰め、ナイフをマリアの胸の前にかざした。
「大丈夫。一瞬で終わらせるから」
マリアは思考を張り巡らせ、必死に考えた。
(私が…ここで死んだら、アステラス王国を救えなくなってしまう…。
あの人にも、会えなくなってしまう!!)
「そんな訳には、いきません!」
マリアはスカートのポケットから短剣を取り出し、マーサのナイフを止めた。
「!? なんでそんなもの…」
「ルカが持たせてくれたんです。もしもの時に備えてって…」
それから二人は激しい死闘を繰り広げた。
刃と刃がぶつかり合い、鋭い金属音が辺り一帯に響き渡る。
(マーサさんを殺さないと、私が殺される…なら!)
「毒の状態でそこまで動けるなんて…!」
マリアの死に物狂いの攻撃はマーサを圧倒し―――
鋭い一撃でマーサのナイフは宙を舞った。
「しまっ」
彼女はナイフを取りに行こうとするが、届かない。その隙に、マリアはマーサの腹に短剣を突き刺した。
「ぐふっ」
マーサは、大量の血が流れる腹部を両手で押さえながら、そのまま地面にくずおれた。
それと同時に、宙を舞っていた彼女のナイフがカツン、と音を立てて落ちた。
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです! (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます! 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします! (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです!続き楽しみです!頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい! 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます! (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年3月1日 9時