PARACAGE 2nd【ars】 (ページ27)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:1,766,616 hit

62.ポンコツ女子。ページ27

「さて、そろそろ夕飯の買い物行くかなー...」

潤くんがボソッと呟く。

「今日は何人分？」と翔さんが訊くと「5人」って潤くんが答えた事で、今日雅紀くんは一緒に食べないんだなぁ...ってちょっと残念に思う。
ちょっとだけね。
...って、誰に言い訳してんだか。

「僕、買い物行くよ」
「あ、良いの？」
「うん、潤は作ってくれるんだし」
「助かる、ありがと。じゃあ、リスト書くからちょっと待ってて」

ダイニングに座った潤くんがメモを書いて、翔さんに「お願いします」と渡した。

「そう言えば洗剤とか少なくなってたし、そーゆーのも買ってくるよ」
「あ、私も行きます！」

私、ここに来た初日にお蕎麦作った位で特に何もしてない。
共有部のお掃除は時々やってるけど、毎日家に居る智くんが実はすっごくお掃除上手だとゆー事が発覚してからは逆に手を出さない方が良いのでは...？と思い始めた。
料理は勿論、潤くんが一番上手いし...

ポンコツ女子、せめて買い物くらい手伝わなきゃ！

「じゃあ、一緒に行きましょうか」
「はい！何でも持ちます！」

ふんっと意気込んだ私の肩に、背後から潤くんが「失礼しまーす」ってリュックを掛けた。

「両手塞がるから、買った物はリュックに入れるのが基本」
「両手塞がる？」

「バイクで行きますからね」と、翔さんが微笑む。

「じゃ、行ってらっしゃい」

潤くんがヒラヒラ手を振るから、私もつられて手を振って家を出た。

「Aさん、これ被って下さいね」

翔さんからヘルメットを受け取って被ろうとするんだけど、慣れてないからなかなか上手く被れない。

「アハッ、ちょっと待って下さいよ？」
「あ...すいません...」

被れないメットを、向かい合った翔さんが被せてくれた。
この距離感は...なかなか少女漫画的で、何故だか申し訳ない気分とやっぱり多少のトキメキもあってドキドキ。

翔さんがカブ子を引いて道路まで出て、跨る。

「どうぞ、Aさん」
「...は、はいっ」

...そうか、メット被せて貰った程度でドキドキしてたら駄目だった！
バイクって事は翔さんの後ろに乗るって事じゃないか！

「お邪魔します...！」
「お邪魔...フフッ...」

翔さんがクスクス笑ってる。
お邪魔しますは変だったか...

オズオズと後ろに跨り、さてどうしよう...と思ってると

「ちゃんと掴まって下さいね？」

って言われて、遠慮がちに彼の腰を両側から掴んでみた。