あなたの ページ31
昨日は弓弦くんの家に泊まったんだけど、寝る前の記憶がない。
まあ、何もないでしょう。
今日の朝はすごかった。
目覚めたら弓弦くんがカーテンをあけていた。
弓弦くんは笑いながらこっちにきて
──愛するAに朝から会えて幸せでございます
って言われた。
もうそれだけでわたしは真っ赤になってしまって、弓弦くんは愉快そうに笑っていた。
なんか、からかってません？？そんなことないです？
突然、上から赤いものがヒラヒラと落ちてきた。
地面に落ちたものを拾い上げると、それはバラの花びらだった。
「A」
弓弦くんの声がする。
あれ、でもこんな呼び方だったかしら？
わたしが首を傾げていると、楽しそうに笑う声が聞こえてきた。
「おやあ？わたしの声帯模写に全く揺らがないとは。やはり真実の愛は素晴らしいですね」
声はするけどどこにも姿が見えない。
「ど、どなたですか？？」
思わずカバンを握りしめて振り返ると鳩が一羽いた。
「き、気のせいか…」
そして再び目を開くと、鳩はおらず目の前には長髪の男性が立っていた。
「うひゃあ！！！」
「初めましてジュリエット！」
その人はポンと煙と共にバラを１本手渡してきた。
「な、な、なんで、な、どなたで…あ！日々樹様！？」
急いで頭を働かせて、目の前の男性をよく見ると、fineの日々樹渉様だということがわかった。
「はい、あなたの日々樹渉です」
「初めまして、篠宮Aです。ところで、ジュリエットというのは…」
「ああ、あなたのことですよジュリエット！お家違い、素敵な恋の物語。あなた方２人の行く末が毒と短剣ではなかったこと嬉しく思います。ハッピーエンドこそ至高とは言いませんが、現実はその方がよろしいかと」
「はあ…」
よくわからないけれど、ジュリエットというのはわたしのことらしい。
「一度お会いしたかったんですよね。英智から聞くあなた方２人の恋物語は、それはそれは慎み深く、それでいてこじれていて。でも最後は美しく愛を誓い合うだなんて、実にエンターテイメント！事実は小説よりも奇なりですね」
日々樹様のツラツラと舌の上を滑る言葉に感心していると、日々樹様は太陽を指でフレームを作り囲む。
「いけませんね、このままでは遅刻してしまうでしょうからこの気球に是非お乗りください！」
日々樹様が指を鳴らすと太陽を隠すほどの気球が頭の上に現れた。
「す、すごい手品」
「タネもしかけもありますよ。それではお乗りください」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宝(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます！弓弦お好きなの嬉しいです〜(*^^*)おもしろいと言ってくださってありがとうございます！応援もありがとうございます！最後まで走りきります (7月5日 20時) (
レス) id: 2151f87f60 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 弓弦の夢小説少ないので嬉しいです(;_;)すごく面白いです応援してます！ (7月4日 23時) (レス) id: cb84109612 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宝 | 作成日時：2023年7月3日 19時
