北さんと恋したい【HQ】

030:素敵と思ふ ページ31

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時々休憩をとって、お菓子をつまんだり、ジュースを呷ったりして、

近いうちに勉強する範囲はこんなものなのかと思うのはなんだか楽しかった。





お兄ちゃんたちの課題してなさぶりには毒気を抜かれたけど、

出来なさぶりには驚かなかった。




悪びれない二人は強い。





既に課題を終わらせた角名先輩にはInsytaのストーリーに上げられたし。

否めない。


一個目は隠し撮り。

二個目は隠し撮り。

三個目も隠し撮り。



いや角名先輩盗撮趣味あるのかな。




なんだかんだ言って、この掴めない先輩が、

私が私自身のことを好きにさせてくれているのかな、と不意に思う。



意識して欲しい。

認めて欲しい。




そんな願望が強くなって、自分が嫌になるときがある。

こんな自分も受け入れてくれる、時々変な笑いをあげるこの人の優しさに泣きそうになるし、

自分が育ませてきた人間関係に恵まれたことは十分承知だ。





そう月日はたたない、昔のモノクロがかった思い出と鮮やかな今を比べて胸が苦しかったりする。

ずきずき痛んだ心はなかなか治るものじゃないけれど、





曇天に覆われていたあの頃とは違うんだ。

人の原動力は心なのだから、心を燃やして生きていきたい。






四個目にしてやっと、角名先輩と銀島先輩との共同制作ストーリーを撮って笑いあった後、

ずっと気になり続けていた北先輩を窺う。






線対称のように、相対的な色の頭を抱える二人に、

目を伏せながら勉強を教える彼。

そんな瞳を他の誰にも見せないで欲しい。



なんなら、私だけを見ていて欲しい。

恋をして、自分の中にこんなにも黒い気持ちがあったことに気が付いた。



でもやっぱり、





「……素敵すぎる」









・








唇にそっとシャーペンの淵を当てる彼を見て、

心臓がぎゅっと掴まれたように痛い。


弾むような、そんな気持ちじゃない。

そうか、彼は受験生なのだ。









嗚呼そうか、もう来年は

学校に当たり前が居なくなるのだ。

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