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「あれ？真田くん？」
「久しぶり、抽選会ぶりかな」
あ、そっか
私は決勝で真田くんのピッチング見てるからそれ以来だと思ったけど、顔は合わせてなかったもんな
すぐ一也の病院について行ったし…
スポーツ店に新球やロージンを買いに来たら大雨に振られた
ついでに一也の誕生日プレゼントも見てたけどいいのがなかったから保留中
大雨に振られたからって大事な野球道具を濡らす訳にはいかない
制服やセーターでぐるぐる巻きにして直接濡れるのを防いで雨の中を走ってて、雨宿りできる場所を探していた
やっと見つけて駆け込んだら、そこには真田くんがいた
「びしょ濡れじゃん、大丈夫か？」
「ちょっと待って…ボールが…」
箱が濡れていないかチェックする
「バカだな！外箱くらい濡れても中のボールはちゃんと個別に梱包されてるんだから、ちょっとやそっとじゃ濡れたりしねぇよ
それより自分自身の事心配しろよ
この寒い中雨に打たれて、制服までボールに捧げて、風邪ひくぞ」
そうかもしれないけど…私にとったらボールの方が大事だもん
「自分の買い物もしてるのに、そっちは気になんないのか？！」
「自分のジャージだし、洗えばいい
問題なし！」
ため息をついて呆れたって顔された
カバンからタオルを出して、丁寧に拭いてくれる
真田くんてマウンドと普段じゃ印象が違いすぎて戸惑うな
マウンドでは闘志剥き出しなのに、普段はこんなに優しいんだ
「一応、お前のこと彼女にしたいって言った男の前で無防備すぎねぇか？」
「え？あれ本気だった？」
「ひっでぇ…」
涙流してお腹抱えて笑ってる
そういう所が本気に取れないんだけど…
続いて出てきたのは、真田くんのジャージ
ないよりマシだろって着せてくれた
「青道はこっから近いよな？だれかに傘頼めるのか？」
「うん、連絡してみる
真田くんはどうしてここにいるの？薬師があるのって杉並区だよね？遠くない？」
「ちょっと用事」
「へぇー、そっか」
「なぁ、もうちょい俺に興味持って？」
「えぇ？？」
雨が滴っている髪を真田くんはわしゃわしゃともう1回拭いてくれた
「じ、自分でできるから…」
タオルの隙間から見えた顔が…
なんとも言えない表情で急に恥ずかしくなる
2年生のグループトークの所に、手空いてる人傘を…とメッセージを飛ばした
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
