152 ページ6
うぅ…さすがに少し寒くなってきた…
腕をさすっていると真田くんは上着の中に私を入れた
抱きしめられるみたいになっちゃってるのは、どうしよう
「人の体温てあったけぇだろ？」
「確かに…って違う！そうじゃなくて…」
「ははっ、Aちゃんおもしれぇな
こ、こらこら、暴れんなって寒いんだろ
迎えが来るまで大人しくしとけよ」
「真田くんだって濡れちゃう…」
「俺は男だからいいの
こんなに身体冷やして…女の子なのにさ」
濡れちゃうから離してって言ってるのに、腕の力は強くなるばかりで…
一也よりももう少し大きい真田くん
腕長いな…私なんかすっぽりじゃん…
さすがピッチャーだなーと結構アホな事も思ったりした
でもこれは密着しすぎて恥ずかしい
「真田くん、もう大丈夫だから離して」
真田くんの胸板を強く押し返す
一也にも楠木先輩にもされたことあるけど…
部員でも仲間でもない人にされるのは胸の奥がザワザワした
離れてくれないし…
「Aちゃんはちっちぇな」
「人が気にしてることを…」
「いいじゃん、女の子って感じで」
他の学校の人に女の子扱いされるとなんだかすごくくすぐったい
真田くんもファンの子多いよね？
こんなとこ見られたら誤解されちゃわない？
大丈夫かな？
パシャンて誰かが水たまりを踏んだ音がした
振り返ると一也が私の傘を持ってそこにいた
「は？真田？！なんで？」
「御幸か…キャプテン自らマネージャーのお迎えとはね」
「なにAのこと抱きしめてんの？」
「いや、これは…」
一也、キャッチャーマスク被ってる時みたいな鋭い目しなくていいから
寒そうにしてる私を心配してくれただけだと伝えたら、睨むのはやめてくれたけど、ご機嫌ななめ
「一也帰ろ…来てくれてありがとう」
試合でもないのになんで火花散らしてるの
ハラハラするからやめて
私の傘を真田くんに渡して、私は一也の傘に入れてもらう
「ジャージ、洗って返すから」
「じゃそんときに傘返すよ
これ、携帯の番号」
「また連絡する」
まだ怒ってる一也の手をひいてもう一度帰ろって言っ
てもまだ真田くんを見てる
ちょっと強引に引っ張ったら一也はようやく歩き出した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
