近くて遠い ④【ダイヤのA】 (ページ31)

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ちなみに…付き合ってるってまだみんなには言ってない
聞かれたら答えるけど、自分たちからわざわざ言い出すのはちょっと恥ずかしすぎて…

待ち受けに設定して一也に見せようと横を向いたら、すぐ近くに一也の顔があって思わず後ずさりをしてしまった

「おいおい…何故逃げる…今の傷ついた…」

「な、何しようとしてたの？」

「そりゃ…初キスを…」

離れた分一也が近づいてきたから、また1歩距離を取った

「一也さん？誰か来るかも…」

「来ねぇよ…」

「甲子園中だよ？」

「それが？」

「洗濯物がこんなに干されてる中で？」

「あー、それ気にする？」

「だってスラパンとか…目に入る…」

「それは確かに…」

「ここはちょっと難ありだと…」

「俺とキスするのが嫌だと？」

そうは言ってないじゃん…
一也との初めてのキスの思い出がスラパンとセットなのは…と思っただけで…

おや？待てよ…そもそも初キスなのか？
赤ちゃんの時にチューしてるのとかもうちょい大きくなってからのも、バッチリ写真に収められてる
さすがにノーカウントかな？

手すりづてに1歩ずつ逃げてきてもうすぐ半周する

「やめとこ？」

「やめません」

あ、やばい…もう逃げ場がない

「します」

扉が開く音がして咄嗟に一也が物陰に隠れた
引き寄せられて後ろには壁
目の前には逞しい胸板、と思ったら一也さんの整った綺麗なお顔

「一也…」

「シッ、黙って」

幸ちゃんと唯ちゃんが私を探してる

「あれー？Aどこいった？」

「まだ洗濯物残ってたっけ？取りに行ったのかな？」

「そうかも…手伝おうか」

「そうだね」

2人の会話を聞きながらした一也との触れるだけのキス

男の子の唇ってこんなに柔らかいんだ
意外だ…

「A、もう1回…」

「え、待って…」

「いや？」

「嫌じゃないから…困ってる…」

目線を逸らしたのに、顎を掴まれて上に向かされた

さっきよりも長くなった一也のとキス

チュッって離れる時に音がして恥ずかしさが倍増した

ポスンと一也の身体に体重をかけるとギュッて抱きしめてくれて、失敗したなぁと呟いた

「Aが可愛くて、ここでキスしたのやっぱり失敗だった
もっとしたくなったけど、ランドリーにAがいなかったら夏川たち戻ってくるかなって」

続きはまた今度と妖艶に笑った