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Aとキスして完全舞い上がってた
それを悟られないように必死で隠したが倉持とナベに機嫌がいいなと速攻でバレた
適当に誤魔化したけど…
観察眼が鋭い仲間を持つのも考えものだ
そこでふと気がついた
俺にとってはファーストキスだが、Aは違うってことを
あいつ…楠木先輩としてやがる…
思い出して少しへこんだ…
抽選の結果、初戦の相手は宝明となった
甲子園練習の時にはいなかった観客
ここで野球ができることを噛み締めなきゃいけねぇな
自分一人の力でこの場所に来たんじゃない
ベンチメンバー、アルプスにいる仲間たち
好きなことをとことんさせてくれた父さんに感謝の気持ちをプレーで表す
降谷が6回1失点
7回からは沢村がマウンドへ上がった
沢村はやっぱり裏切らない…
憧れの甲子園のマウンドですっ転ぶか普通…
試合が終わってもふとした時に思い出して笑えてくる
「A、見てねぇの？あの大惨事を…」
「試合も終盤に入ったからアルプスのゴミ集めしてたの
アルプスも大爆笑が起こって何事かと思っちゃった」
「ある意味伝説になったな」
「試合見てた人の記憶にはしっかり刻まれたよね」
次の相手は日本庄野
第1試合から球場に行ってスコアをつけてくれていたAがスコアブックを持ってきてくれた
「改めておめでとう
アルプスに駆け寄ってきた時思わず泣きそうになっちゃったよ」
「嘘言え、バッチリ泣いてたじゃねぇか」
わかるわけないって顔してるけど、俺はAがどこにいるかなんて、すぐわかるんだぞ
なめんなよ
「初戦取ったくらいで泣いてちゃこの先持たねぇぞ
優勝した時まで取っとけ」
Aの赤くなった目元を見る限り、ちょっと泣いたって感じじゃねぇんだよなぁ
きっと号泣してんだろうな
「さてと…そろそろ消灯の時間だよね
一也も試合して疲れてるだろうし部屋に帰ろっかな」
おやすみと普通に出ていこうとするのをドアノブを掴んで阻止した
「なんで平気な顔して出ていこうとすんの？
俺はもう少しAと一緒にいたいって思ってる
1人にすんなよ」
ドアと俺の間にいるAはみるみるうちに真っ赤になって大きな瞳をぱちくりさせてる
「ご褒美とかくれないわけ？」
「ご、ご褒美？」
「そ、ごほーび」
ニッって笑うと悪い顔〜と頬を引っ張られた
そのまま両手で頬を包み込みながら、背伸びをして唇を重ねてきた
ほっぺにキスして誤魔化されると思っていた俺は完全に不意をつかれた
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
