近くて遠い ④【ダイヤのA】 (ページ30)

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一也の事が頭から離れなくて全然寝られなかった
あんなに熱く強く想っててくれたなんて思わなかった
完全に寝不足…気づいたら朝だった…
大あくびをしている所をマネージャーのみんなに目撃された
一也はほっぺにチューしてくるし…ドキドキして寝られなかったよ

「はよ」

「おはよう、一也」

顔を見ただけで…ほら、またドキドキしてしまう

今日は近くの球場で時間制限ありの練習がある
抽選会はもう少し先

いい番号引いてよねと一也に手を合わせて念を送った

練習してるだけで飛んでくる黄色い声援
試合する前から降谷くんも一也も人気者過ぎる
日に日に人が増えていっている気がする
毎日違う球場で練習してるのに、どこで情報収集してるんだろう

練習から帰ったらマネージャーは大忙し
練習着の洗濯をまとめてやる
屋上を開放してもらって、そこで大量の洗濯物を干していく

ふぅ、と一息ついたら、一也が扉を開けた

「おつかれ、休憩してはいかがですか？」

スポサンからメガネに変わった一也が温かいミルクティを持ってきてくれた

「ありがとう」

彼氏と彼女になっても2人きりの時間はそんなになくて、こうやってゆっくりするのもあの日以来

「どうだった？甲子園のグランド」

「おっきかった
感激しちゃってそれ以上なんて言ったらいいかわかんない
あそこに人が入ったらもっと大きく感じるよね」

青道は先日、甲子園練習を終えていた
ノックの時に監督にボールを渡す役としてグランドに入れた

感激の他になんて表現したらいいかわからない
選手だって入れない人がいたのに、私でいいのかなと最後まで躊躇していたけど、ベンチ入りを外れた3年生が背中を押してくれた

ベンチに入る時、時間を使ってお願いしますとグランドに挨拶したかったから1番最後にしてもらった

沢村くんじゃないけど、深呼吸を深くして甲子園の空気をたくさん吸い込んでおいた

「ほんとに甲子園に来たんだなぁって実感した
あ、そうだ…」

スマホで撮ってもらった写真を一也に見せた

「これ、待ち受けにしていい？」

「俺にも送って」

沢村くんが撮ってくれたツーショット
幼なじみなんだからとナイスパスを出してくれた

撮りたかったけど、私からはとてもじゃないけど言い出せなかったから

一也も撮りたいとか思ってても言わないと思う

素直に応じたのにはちょっとびっくりした