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風呂にいても父さんとAの楽しそうな声が聞こえる
普段寡黙なのにA相手だと饒舌になる父にはどうしたものか…
ガキの頃からこの家で喋ってるのは俺ばかりで
一言二言相槌程度に返事が返ってくる
心底職人気質だから気にしたことねぇけど
Aが来ると俺よりも騒がしいから必然的に賑やかになる
それを目を細めて嬉しそうに眺めてたよな
2人ともさっぱりした所でAが作った年越しそばをみんなで食した
驚いた…
食堂のおばちゃんの手伝いをしてるからか、Aの料理の腕が上がってる
天ぷらも揚げたてで美味いし、出汁もなかなか…
出来合いじゃなくて出汁から作ったみたいだな
美味い美味いと嬉しそうに食べる父さんはビールも進んで俺がもうやめとけというまでご機嫌に飲んでいた
「おじさん寝ちゃったね」
Aが風呂に入ってる間にころりと眠ってしまう父
「いつもこうなんだろうな、世話のやける父さんだよ
寝かせて来るから片付け頼めるか？」
ガキの頃は大きく見えた背中が今は少し小さく見える
痛む身体でも、父さんのこと運べちゃうんだもんな
少し痩せたか？と心配になった
ちゃんとメシ食ってんのかね？
片付けを手伝おうとAの隣に立ったら、一也はゆっくりしててと怒られてしまう
俺のスエットを着て俺が使ってたエプロンして鼻歌歌いながら洗い物してる
こうしてると新婚みてぇだな…
「は？」
あ、やべ…今声に出てた？
びっくりしたAが凄い勢いで振り返った
泡で滑ったのか、ガチャンと皿が割れる音がした
「あ、ごめん！割っちゃった」
危ないから触るなよと駆け寄ったけど時すでに遅し
指から血が流れてる
結構やっちまったみたいだな
傷口を綺麗にして止血する
ごめんと謝り続けるA
皿1枚くらい気にしなくていいのに
俺が口走ったことで動揺してるのか？
「もういいから、傷口押えて座ってろ」
すっかりしょんぼりしてしまったA
痛いのか涙目になってる
皿の破片を片付けてから救急箱を持ってきて手当てをした
「ありがとう」
「おぅ、初詣は明日にしようぜ」
「そうだね…」
布団に入ってからもあっちへゴロゴロこっちへゴロゴロ
寝れねぇみたいだ
「A、さっきのは深い意味ないから
気にせず寝ろ」
「んーーーわかった…おやすみ」
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
