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情けねぇ…去年より家の階段がキツく感じる
「一也、ほらもうちょっと頑張って！」
Aが背中を押してくれてようやく階段を登りきる
「ただいま」
父さんは今日まで仕事か
寿司とカップ麺が机の上に置いてある
そういう所変わんねぇな…
昔、誕生日プレゼントやケーキも買ってきたまま置いてあって、帰ってきてすぐ中身見ちゃった事あったな
今日は何もやんねぇぞとベットに大の字に寝転がった
「温かいのなんか淹れる？」
「いいよ、Aも合宿疲れあんだろ
ゆっくりしてろ
マネージャーも本当によくやってくれたよな」
「選手に比べたら全然…」
急に黙ったと思ったら、あーーーっと大声をあげた
「うるせぇな…」
「お母さんねおばあちゃんち行ってるの
ぎっくり腰で家事が大変だからって…」
「ふむ、ばあちゃん大丈夫かよ…確か一人暮らしだったよな？」
「そろそろ一緒に暮らそうかって考えてるみたいだけど…
そ、それでね家の鍵ちゃんと持って来なさいよって言われてたのに、寮に忘れてきた…
お母さん三賀日向こうでいるって言ってたのに」
「Aってたまにこういう事やるよな
普段しっかりしてんのに、結構重要な所が抜けてる」
「今から寮に行ってくる！」
「バーカ、何時になると思ってんだよ…今日はうちで泊まればいいだろ？布団ならある」
「いいの？」
父さんもきっといいって言うに決まってる
なんならAが泊まるの喜ぶんじゃねぇかな
娘みたいに可愛がってるしな
お詫びにとドタバタ家事をやってくれてる
せっかくだから年越しそばを3人で食べようと買い出しに行った
今のうちにAがうちに泊まるって父さんに言っとくか
さっき、ただいまって声掛けたけど、面と向かってちゃんとただいまと言う
「一也、おかえり」
「今日、Aがうちに泊まるから」
かくがくしかじか、そうなった経緯を話すと二つ返事でOKが出た
ほわほわした空気が漂ってくる
息子が帰ってきた事よりAが泊まっていく事の方が嬉しそうに感じるのは気のせいか？
なんもしねぇって思ってたのに、工場に来たら何か手伝おうか？と申し出てしまう
父さんはゆっくりしてろって言ってくれたが、作業服を羽織ってしまった
親孝行してるねってAが褒めてくれて気恥しくなる
一番風呂は俺か父さんかで揉めた
互いに譲り合ってAに笑われた
先にAのお酌でビールが飲みたいと、緩んだ顔してるから、先に頂いた
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
