オタク度 141% ページ41
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するりと俺の手から離れた彼女の温もりは、目の前の彼の腕の中。
愛おしそうに彼の名前を呼んだ瞬間、「やっぱり俺じゃダメなんだ」って確信した。
______________國崎さんが無意識に、彼に恋をしているんだ。
「田邊だっけ……Aは渡さない。Aを近くで守るのは、俺でいい」
刺すような赤い瞳は、真っ直ぐに俺の姿を映していた。
その瞳に宿った情熱を、自信を、俺はまだ持ってない。
「……だったら、自分の気持ちとちゃんと向き合え。
取られたくないのなら、逃げるな」
念押しで言ったつもりが、図星だったのか、突然押し黙ってしまったけど、またすぐに俺を見た。
「うん、分かってる」
今度は、すごく穏やかな表情だった。
(この人なら、大丈夫)
彼なら必ず、何があっても國崎さんを守ってくれる。
俺は、ベンチの上のエナメルバッグを持った。
「じゃあ、邪魔者は帰るね。
______________【バイバイ】、國崎さん」
数度手を振ると、俺は一度も振り返らずにこの場を去った。
(好きだったよ……國崎さん)
______________【バイバイ】、俺の片想い。
一粒の涙が、風に乗って飛んでいった。
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夏李 - とても面白かったです。! 続編楽しみにしてます! (2019年12月7日 16時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
凛緒(プロフ) - この作品大好きです!凄く胸にきました。続編が出来ることを楽しみにまっています! (2019年5月1日 16時) (レス) id: 49089506da (このIDを非表示/違反報告)
みかん中毒者 - 1~3全部見ました!!共感できるところもあって面白いです!頑張ってください!! (2018年1月24日 18時) (レス) id: eea0661623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水神友花 | 作成日時:2018年1月21日 17時