□ヤダ ページ25
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十四松
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満腹になったお腹を抱えて2人で店から出ると、Aちゃんは伸びをしながら「あー！食べた食べた！」と満足そうに呟く。
「連れてきてくれてありがとう、十四松くん」
「Aちゃんが喜んでくれたらオレも嬉しい！」
「あはは、ありがとね」
Aちゃんは腕時計を見下ろして「帰ろっか〜」と呟きながら元来た道を歩き出す。
＿＿Aちゃん、大分抜けてるとこあるから、アピールしてちゃんと伝えないとダメだよ
トト子ちゃんの言葉を思い出して、Aちゃんの腕をぐいっと掴んで引き止める。
「…どうしたの？」
振り返ったAちゃんに、ぶわっと全身の熱が上がった感じ。
ドッドッドッと動き回る心臓を必死に押さえながら必死に言葉を探す。
「Aちゃん…あの…えーっと…お、オレ」
「…大丈夫？顔真っ赤だし…ちょっと公園で休んでく？」
「…あ、うん！」
Aちゃんの言葉に甘えて赤塚公園の中に入って、噴水のとこのベンチに並んで座る。
言わなきゃ。
ちゃんと伝えなきゃ、いつの間にか兄さん達のものになってしまうかもしれない。そんなのは嫌だ。
Aちゃんを笑顔にさせるのは、オレじゃなきゃヤダ。
Aちゃんに笑顔を向けられるのは、オレじゃなきゃヤダ。
「十四松くん、わざわざバイトまでして連れて行ってくれて、本当にありがとう。私の作ったチョコなんかで釣り合い取れてるのかわかんないけど」
「おいしかったし幸せだった。十四松くんと来れてよかった」とニコニコ笑いながら言ってくれるAちゃんに、きゅうっと胸が詰まる。
またコレ。
Aちゃんが関わると胸の奥がぎゅぉぉおってなるのは、前にも言ったこと。あの時は「好きなのかなぁ」なんて言ったけど、
「Aちゃん！」
「なーに？」
「Aちゃんのことが好きです！！」
「へ？」
パーカーの胸元を握る代わりに、Aちゃんのかじかんでる手をぎゅっと握って半分叫ぶように言うと、こっちをきょとんと見上げているAちゃん。
「優しくて、可愛くて、ニコニコしてて、一緒にいるとすっげー楽しくて！最初は一緒に入れるだけでよかったんだけど、段々トクベツ扱いされたいって…」
「…うん」
段々声が小さくなるオレの顔を照れ臭そうに笑って覗き込むAちゃん。
頭を撫でて、撫でられて、抱きしめて、抱きしめ返されたい…。そんな願望ばっかりが先走って、どんどん欲張りになってく。
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