検索窓
今日:7 hit、昨日:67 hit、合計:2,996,873 hit

□事故 ページ46

.



「いただきます!」

「…いただきます」



ありもので作ったから、魚に味噌汁にご飯という昭和の食卓感がすごいけど、それを前にして一松くんと2人で手を合わせた。

猫にもあっためた牛乳と鰹節をあげて、気持ちよさそうに横になっている。

無言でもぐもぐと食べている一松くんをじーっと見ていると、ちらりと目線を上げて「…何」と言われた。



「…どうかな」

「…不味くはない」

「よかったー。一松くん、私が肉じゃが作った時もハンバーグ作った時も、みんなと比べてあんまり食べてなかったから」



「魚好きなのかなーと思って」と魚の身をほぐしながら言うと、一松くんの箸が止まる。少しびっくりしたように私を見上げていたと思えば「魚の方が好き」と頷いた。



「やっぱり人と一緒に食べると1人で食べるより美味しい」

「…」

「いいよね、6人も兄弟がいるなんて!寂しいことなんてなさそう」

「まあ、普段はそうだけど…。六つ子なんて5人の味方じゃなくて5人の敵がいるってことだからな」

「え?」



忌々しい顔で呟いた一松くんに、今朝のことか…と少し経って気がついて、私は話題を変えようといそいそと立ち上がる。



「一松くんみかん好き?この前ご近所さんにいっぱいもらったんだけど」

「…嫌いじゃない」

「1人じゃ食べきれないから食べ…」



段ボールからみかんを取り出して一松くんに渡そうと歩いて行くと、こたつのコードにひっかかって「うわ!」とこける。

丁度目の前にいた一松くんはびっくりした顔で私を見て、そのまま下敷きになってしまった。

………やってしまった。
久々に不幸体質がでた…。



「ごめん!ごめん一松くん!」

「……っ、さっさとどいて」

「はいすいません!」



起き上がろうとすると、私の髪の毛が一松くんのパーカーのチャックにひっかかっていて、私が一松くんを押し倒しているような状況で止まってしまう。

私は一松くんの頭の両脇に手をついたまま、困り果てて一松くんを見下ろす。

私の影が落ちた一松くんは、ぼーっと私を見上げている。
この状況にかぁーっと顔が火照る。



「…あっ!ごめん今解く!」



何やってるんだ私はと冷静になって髪を解こうとするけど、からまってしまった髪はなかなかほどけない。

焦って「切ります!」という私に一松くんは「…貸して」と私の腰を支えて起き上がると器用にほどいてくれた。



.

□消灯→←□帰宅



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2047 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3277人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年10月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。