■布団の中 ページ38
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電気を消して布団に潜ると、人と同じ布団で寝るとこんなにあったかいのかと思うぐらいぽかぽかして布団の中があったかい。
「……」
今までコツコツ働いてきて、自分で言うのもアレだけど真面目だった。人に迷惑かけないように、気を張ってたのかもしれない。
おそ松さん達と出会って、
いい加減で
不真面目で
大人気ない。
そんな彼らと関わるのは大変で私の平凡な日常なんていつの間にかどこかへ行っていた。
でも、今日は楽しかった。
おそ松さんたちのおかげだ…。
「………」
「…へ」
いきなり布団の中でおそ松さんがするりと手を絡めてくる。
指を一本一本確かめるようにぎゅっと握られて、私は「お、おそ松さん…」と言いかけると、おそ松さんは私の方へ寝返りを打って楽しそうに「しー…」と私を黙らせる。
「ちょっとは、落ち着いた?」
「……え?」
「気晴らしになったんなら、いいけどさ」
「Aを励ますはずが、結局俺たちの方が楽しんでたし…」と苦笑いするおそ松さんに、私もごろりと彼の方に寝返りを打って向かい合うと小さく笑う。
「明日からまた仕事頑張ります」
「………ニートにはならないかぁ〜」
「楽しかったですけど、たまにでいいです、お休みは」
おそ松さんに苦笑いで言うと、「毎日休みで悪かったですね」とおそ松さんもニッと笑う。
「………俺、Aのそういうとこ、好きだよ」
「………え?」
「………頑張り屋で、お人好しで、不器用で、頑張りすぎて暴走しちゃうとこも…」
「かーわいいよなー…」とふにゃっと笑って言うおそ松さんに、布団の中の身体がかぁーっと火照る。
いきなり可愛いとか、好きとか、
普段の適当なおそ松さんから想像できないようなセリフを言われて焦る。
部屋が暗いのがせめてもの救いだ。
誤魔化すように「バカにしてます?」とうつむいて言うと「いや、本気だよ」と普通のテンションで言い放つ。
「昨日、役に立ってないみたいなこと言ってたけど、んなことないよ、絶対」
「……もっと、頑張らないとですね」
「だーから、頑張りすぎたらダメなんだって」
おそ松さんは呆れたように笑う。
私もあははと笑うと、トド松くんが「……おそ松兄さん、そういうのは俺たちがいないところでやってもらえる」と虚ろな目で私たちを見る。
「……おやすみなさい」
トド松くんに謝ると、すぅっと目を閉じた。
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