■ニート ページ33
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「十四松!なに噛み付いてんだよ!!」
「いや、パンだと思ったからさー」
六人を起こしてみんなで朝ごはんを食べる。
チョロ松さんが、私の腕に間違って噛み付いた十四松くんをしっかり叱ってくれている。
「まあまあ、寝ぼけてたから仕方ないよね」と笑えば「怒っていいんですよ」とチョロ松くんが溜息をついた。
「女の子をキズモノにした罪は重いぜ十四松」
「そうだそうだ!Aの腕に噛み付くなんて!羨ましい!」
「…何言ってんのおそ松兄さん」
謎の加勢を始めるおそ松さんに寝癖のやばい一松くんが冷静にツッコむと、私は苦笑いでおそ松さんに「あ、昨日はすみませんでした…」と小さく頭をさげる。
「いいってそんなの!俺とAの仲じゃん?」
「ニヤつくな気持ち悪い」
「どんな仲ですか」
「Aちゃん…」
チョロ松さんと二人でおそ松さんを遠い目で見ていると、トド松くんが小さく眉を下げて私におずおずと話しかける。
「どうしたの?トド松くん」
「僕、Aちゃんがこんなになるほど迷惑かけて…仕事増やしてごめんなさい!」
「母さんおかわり…いっ!」
トド松くんはパッと頭をさげると、隣に座っていた十四松くんの頭も掴んでごつんと卓袱台にぶつける。
おそ松さんの方をちらりと見れば、「こいつら仕事やめさせたから」と小声で言った。
「いやいやいや!私が二人の分のカバーができないのがダメだっただけだから!」
「でも僕達…」
「謝らないで!トド松くんと十四松くんにはきっともっと向いてる仕事があるから、ね。今度探しに行こ」
「…………」
「ちょ!トド松ー!?痛い!トド松ー!?」
トド松くんは十四松くんの頭を卓袱台におさえつけたまま、潤んだ目で私をぽやーんと見上げていたと思えば、
ふわっと笑って「ありがとう」と天使の笑顔を見せてくれた。
「ご馳走様でした」と手をあわせると、お母さんが食器を片付けてくれる。「手伝います」と言ったけど、「ゆっくりしててね」というお言葉に甘えて六つ子たちと卓袱台を囲む。
「A、お前ニートになりたいって言ってたよね」
「え!?Aちゃんニートになりたいの!?」
「自分から進んで社会のゴミになりたいわけ?」
「いや…あれは気の迷いというか…」
おそ松さんの言葉にざわつくみんなを苦笑いでなだめると、おそ松さんは私の肩をガシッと掴むとキメ顔で、
「今日一日、なーんにも考えず俺とニートになろう」
「え?」
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