■だだ被り ページ34
おそ松
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「まずシャワーを浴びたいんですけど…」というAの言葉に、銭湯に行った俺たち。
俺はワイワイとうるさい弟たちに思わずマッサージ機から立ち上がって叫ぶ。
「なんでお前らまで来るんだよ!!」
「なんでっておそ松兄さん、二人のつもりだったの?」
「そうだよ!!」
「…おそ松兄さんアイツに気でもあんの」
冷静な一松の一言に、俺はピタッと動きを止める。
そんな俺を見て五人も静止して「え」と俺を見つめた。
そんな中最初に口を開いたのはトド松。
「え、待っておそ松兄さんいつの間に」
「昨日」
「昨日!?」
「おそ松兄さんAちゃん好きなの!?ひゅー!」
実際、Aを誘ったのは、元気付けてやりたかったからだけど、2人で出かけたいという下心がないといったら嘘になる。
とにかく、昨日の今日でAを見る目が変わってるのは事実。
確実にそういう意味で。
ヤンヤヤンヤとうるさい年下組を宥めていると、一松が「死にそうな顔のやつが2人もいるんだけど」と呟く。
「チョロ松、カラ松?」
真っ青な顔で俺を見るチョロ松とサングラスが取れかけているカラ松。
「おそ松兄さん、あんた僕がAさんを…」
「好きって?知ってるよ?」
「兄と好きな人がかぶるとか!!!嫌なんですけど!!」
「ま、なっちゃったもんは仕方ない」
「仕方なくない冗談じゃない!!」
「最悪だ…」と頭を抱えるチョロ松。
「ねぇ、もしかしてカラ松兄さんも…」
「俺はハートも胃袋も既にAのもんだぜ」
「全然かっこよくないよカラ松兄さん」
「胃袋なら俺も掴まれてるよー!!」
「うん、黙ってて十四松兄さん」
「好みだだ被り…」「ほんとだねぇ」と一松とトド松が他人事のように俺たちを見つめている。
チョロ松が「と、とにかく…」と仕切り直した時、「お待たせしました〜」とAが暖簾をくぐってくる。
「銭湯がこんな近所にあるなんて知りませんでした」
「A!!」
「はい?」
「俺、Aと2人で出かけたいんだけど、どう?」
「いいや!大人数の方が楽しいですよねAさん!」
「男はみんな狼だぜ、2人は危険だろ」
「こう見えて俺ジェントルだから!何!?カラ松こそサングラスの下でAのこといやらしい目で見てんじゃねーの!?」
「なんだと」
「Aちゃん、行こ」とトド松が呆れた顔でAの背中を押した。
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