■教育係 ページ27
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「…えーっと、これコピーして…午後からはミーティング…」
「平野ー」
やっとこさ指導係の井矢見さん離れをして、一人で仕事をこなせるようになってきた。
ブツブツ呟いていると、いきなり井矢見さんからお呼びがかかる。
「わ、私何かしましたか…?」
「なんでそんなビクビクしてるザンス」
「今回はお説教じゃないザンス」とため息をつくと、「平野、お前はもう新人じゃないザンス!!」とずびしぃっと指をさされた。
「は、はい…」
「ということで、こいつらの教育係、頼むザンス」
「やっほーAちゃん!」
「Aちゃんよろしくー!」
井矢見さんのかげから現れたのは、スーツに身を包んだ十四松くんとトド松くん。
まさかの事態に呆然としていると井矢見さんが「こいつら、パートタイムで今日から入るザンスから、いろいろ教えてやってくれザンス」と言うとドサっと資料を私に押し付けて去って行ってしまった。
「自分の仕事押し付けやがったなあの出っ歯…」
「Aちゃん俺なにすればいいのー?クヤクショってなに?踊ればいい?」
「踊らなくていいよ十四松兄さん」
「…二人はどうしたの、いきなりパートなんて…」
とりあえずデスクに案内しようと歩きながら聞くと、トド松くんは嬉しそうに私の隣に並んで「んふふー♡」と笑った。
「Aちゃん、前にウチに来た時、働くって悪いことばっかりじゃないって言ってたじゃん?だからどんなもんかなーと思ってきてみたんだー」
「そうなんだ…頑張ろうね、お仕事!」
「Aちゃんが上司だとやる気も出るってもんだよ、ねぇ十四松兄さん」
「よろしくお願いしャース!」
二人をデスクまで案内すると、ぺらっと資料をめくる。トド松くんと十四松くんの役割は基本正規雇用や人たちのお手伝い。
だいたいパソコンの使い方と電話の取り方を説明して、「頑張ってね」と言うと私もいそいそと自分の仕事に戻った。
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「平野ーー!!!」
「うわぁ!はい!」
もはや恒例となってきた仕事中の井矢見さんの説教。急いで彼の元に走る私を他の従業員さんが苦笑いで見ている。
「なんでしょうか!」
「これはなんザンスか!!」
「………なんかゼロ多くないですか?」
資料を見れば10000のところが100000000あと入力されている。0の個数が違うどころか「あ」ってなんだ。
誰が作ったのか名前を見れば「松野十四松」と書いてある。
「………十四松くん」
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