■家族 ページ36
.
「うわぁ…」
「いぇーい!Aパチンコ大勝ち!!」
「センスあるよAちゃん!」
「さあ、分け合おうか」
「やめろお前ら」
たくさんの諭吉を持って震える私の周りで大喜びの兄弟たちをチョロ松さんが冷静になだめる。
ちょっと時給がよすぎてびびったけれど、ここまででやめておこうと心に決める。
「こんなにお金持っててもアレなので、何か美味しいものでも食べませんか?」
「女神か、カラ松ガール」
「何か食べたいものあります?カラ松さん」
「……そうだな」
「とりあえず酒!」とうるさいおそ松さんに「わかってますから」と苦笑いで返事をしていると、悩んでいたカラ松さんがじーっと私を見る。
「……Aの手料理が食べたい」
「…え」
寿司とか言われるかなと思っていたのにまさかのリクエストに静止する。
「美味しい居酒屋さんとかの方が!」と慌てて否定すると「…ダメか?」と少し怯んだように私を見るカラ松さん。
「胃袋つかまれてるからねー」とおかしそうに笑うトド松くん。私は嬉しいけど、なんだか照れくさい。
「い、いいんですか?みなさん私の作ったもので」
「はい!」
「まぁ…不味くはないし」
「はいはいはいははーい俺肉じゃががいいー!」
「じゃ、スーパー行って材料と酒買って帰るか」
「酒に関しては頑なですね、おそ松さん」
.
.
「あらまぁ…手際がいいこと…」
「すみません台所お借りして…」
おそ松さんたちのお母さんが、私が肉じゃがを作っている横で感心したように私の手元を見ている。
「お父さんじゃないけど、ホントうちの六つ子、1人と言わずみんな持ってってほしいわ…」
「ニート6人は厳しいものが…」
「三男チョロ松孫保証なんてどう?」
「孫保証?」
ぐつぐつと肉じゃがが煮立っていい匂いがしてきた。
味見をすると美味しくて思わずふふふと笑ってしまう。
小さいお皿に少し取ると、「どうぞ」とお母さんに渡した。
「あらおいし」
「ホントですか?やったー!」
「じゃ、完成で」と火を止めると、よそうわたしを見ながらお母さんが呟く。
「一人暮らし、長いの?」
「そうですね…大学4年間と社会人2年なので…6年目になります」
「周りに頼れる人も少なくて、お仕事も大変だと思うけど頑張ってね」
おそ松さんに何か聞いてたのか、「困ったら家族だと思って頼ってくれていいからね」と私を温かい目で見ながら笑った。
「ありがとうございます…」
.
3278人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ