普通じゃない.13 ページ14
その声は低く重い。
トド松の後ろから顔を出したのは、いつもよりなんだかまた一段と猫背な一松だった。
「家の部屋に閉じこもってる。ひとりで」
不思議と、ひとりで。が強調されたように聞こえたけど、一松は、自業自得だざまあみろクソ松。ケッ。なんて毒づいていた。
まぁ自業自得っていえば否定はできない。
あのドブスに尽くすカラ松には理解できなくて、カラ松以外で飲みに行って家に帰れば、もう既にカラ松しかいなかった。
どうしたんだと問うてもカラ松はこちらに見向きもしないまま自嘲して終わる。
あれからカラ松はどこにも出なかった。
一松のその言葉に心配そうな表情を浮かべたAちゃんに隣にいたトド松が慌ててフォローに入る。
「ああ！最近調子でも悪いのかもねぇカラ松兄さん！」
「そ、そんな…、なにかしてあげないと…」
「えっ、いやいやいや！だだ大丈夫だよ！カラ松兄さん案外身体丈夫だし！」
「…でも、」
フォローが空回ったようだ。
純粋で優しいAちゃんにとっては通用しなかった。
「なにやってんだよトド松！」
「ごごめんチョロ松兄さん！」
「……ケッ、ほっとけよクソ松なんて」
もっと心配そうに視線を向けてくる彼女に今までじっとしていた十四松が動いた。
「はい」
「…えっ…これ、」
驚く彼女の前に広がるのはここに来る前に俺たちでなけなしのお金をかき集めて買ってきた花束。
ここにいる俺たち弟は気付いたんだと思う。
おそ松兄さんがあんなにカラ松に怒りをぶつけていたワケが。
必死に笑顔を繕っている彼女に。
人一倍他人の気持ちへ純粋に向き合う十四松には、耐えられなかったんだろうか。
「みんなで買ってきたんだーAちゃんと、おばあちゃんに。あげる」
花束と十四松、それから俺たちの顔を交互に見る。
その時に照れくさくて笑うしかなかったけど、彼女にも伝わったようだった。
大きな花束を受け取ったAちゃんは嬉しそうに、笑った。
「…元気出ました…っ…」
両腕いっぱいに映るオレンジ色のガーベラの花言葉。
我慢強さ
常に前進
「Aちゃんなら大丈夫だよ」
「俺たちがいるからね」
「前進前進！」
「だから元気出して」
俺たちの言葉のあとに、長男は強く頷いた。
「絶対大丈夫だって」
続いて頷いた彼女の取り戻した笑顔に、なんつーかこっちが元気でたわ。
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尾っぽ(プロフ) - skm130さん» わわ！お返事遅くなってすみません！こんな作品のためにお時間割いて下さりありがとうございます！またいつでもコメントしてくださると嬉しいです^_^︎ (8月21日 22時) (
レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
skm130(プロフ) - こんなに素敵な作品と素晴らしい時間をありがとうございました。この作品が大好きです。コメント失礼しました。 (2019年5月5日 0時) (レス) id: d6899efe03 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - リカさん» まじですか！？！？！まじですか！？！？！うわぁぁぁほんとに嬉しいです泣、、私からしたらあなた様がお優しすぎて神です…これからもご期待に応えれるように頑張りたいと思います…！！ (2019年2月20日 23時) (レス) id: 4b3d387825 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - milkyさん» ええええ！！！私も幸せになって欲しいと思いながら書きましたが、泣いていただけるなんて嬉しすぎて私が泣きそうです(なぜ)こちらこそありがとうございますぅぅ…！！ (2019年2月20日 23時) (レス) id: 4b3d387825 (このIDを非表示/違反報告)
リカ - わあああ……こんなに泣いた小説初めてです……ほんとに作者様神すぎて……神作品でした！これからも応援しますっ！頑張ってください！！ (2018年2月26日 2時) (レス) id: aa7e1fa533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：尾っぽ | 作成日時：2016年6月21日 23時
