8 ページ8
我妻さんは男の子を引っ張るように、玄関があった所の扉を開けるが、そこは火鉢が置いてある落ち着いた部屋となっている。
嘘だろ、と我妻さんが慌てて別の部屋の襖を開くと、今度は得体の知れない猪が立っていた。
それは部屋の中央に居て私達に背を向けており、やっと振り向いてこちらち駆け寄って来たかと思えば、私達を無視して屋敷の奥へと進んでいく。
……猪突猛進とはこの事だろうね。
まさしくそうだったよ。勉強になった。
『……取り敢えず、妹さんを探しつつ出口を見つけるのを優先にしましょう。此処から出て一旦体制を整えられたら、また私が中に入ります。』
「駄目だよAちゃん本当に死ぬ」
『……私は大丈夫ですよ』
例え今日この場で、この命を捨てることになっても、しょうがない。我妻さんと男の子を守れれば今日はそれでいい。良いんだ。
少しだけ自嘲気味に笑った私を見て、我妻さんは、だめだよ、ともう一度呟く。
「俺やっぱり今だけ頑張るからッAちゃんは俺の後ろに居てよッ！！」
『我妻さん』
「ででででも、もしもの時は、ほんとにお願いね」
『………はい』
震えながらも男の子の手を引いて前に進む我妻さん。
気を遣わせてしまったのは直ぐに気付いたが、彼の振り絞ってくれた勇気を無駄になんか出来ず、私は彼に、託すことにした。
『そう言えば、君のお名前を聞いてもよろしいですか？』
「し、正一です……」
『正一君、素敵なお名前ですね。私は栗花落Aです。そちらに居るのが我妻善逸さん』
「ハァッ！！！Aちゃんが俺の下の名前を呼んでくれた！？！？おれ頑張るよ！！！」
『あ、はい』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そあ Free sky - 私は現実で愛されていないからですかね？愛されている夢主を見て泣いてしまいました。頑張ってください！ (2019年10月6日 21時) (
レス) id: 4b25111a5e (このIDを非表示/違反報告)
名無しの刃 - 富岡…？恐らく冨岡では…？偉そうにすみません… (2019年10月3日 23時) (レス) id: 7c2b7aa7df (このIDを非表示/違反報告)
まっち - 続編おめでとうございます！本当に面白いと思いました。これからも頑張ってください！応援してます。 (2019年9月22日 22時) (レス) id: d74e1015ce (このIDを非表示/違反報告)
銀炉(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます！７話がなくて話が抜けてますよ！更新楽しみに待ってます！ (2019年9月22日 13時) (レス) id: c268784eb7 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 続編おめでとうございます！更新頑張ってください！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：-naki-
| 作成日時：2019年9月21日 23時
