65.朔間凛月 ページ17
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『君はいつも寝ているな』
「……五月蝿い」
『そう言わずに起きてくれ凛月くん』
「……な〜に?仕事かなにか?」
『いや単に僕が話したいだけ』
「ぶっ殺すよ〜」
そう言って僕に背を向けて寝ようと朔間凛月。
放課後になっても外の芝生で寝ている朔間凛月を見つけた。こんなところで寝て身体が痛くなったりしないのだろうかとか、ファンの人達に襲われたりしないのだろうかとかそんな細かい事は聞かずに僕はただ彼と話してみたかった。
『凛月くん炭酸好きか?』
「……あるの?」
『さっき自販機で買ったら一本当たった』
「……いる」
意外に炭酸に食いついた朔間凛月に炭酸を渡すと機嫌良さそうにぐびぐびと飲み干す。ラベルに強炭酸と表記されていた筈だがよくもまぁそんなにスムーズに飲み干すなぁと思った。どうやら彼は炭酸が好きらしい。
「……餌付け?」
『飲み干してから言うか?そんなつもりはないよ』
「そう……ねぇ」
『ん?』
「アンタって俺と前に会ったことある?」
『学校で前に話したな』
「そうじゃなくて。学校以外で」
『新手のナンパか』
「血、飲み干すよ」
記憶を巡らすが彼と学校以外で会ったことがない。僕が首を横に振れば目を伏せる朔間凛月。
いや、ただ僕が忘れているだけかもしれない。あの三毛縞先輩と同じでもしかしたら僕が忘れているだけで、彼は思い出してほしいのかもしれない。
『な、なんかごめん。覚えてなくて』
「いや俺もうろ覚えだから別に」
『なんだよ』
「ただアンタと似たような人が頭にチラついてるって感じだから正確にはわからないし」
『まぁ世の中にはそっくりさんは3人存在するっていうしな』
「……ま〜くんに聞けばわかるかな」
『ま〜くん?』
「知らないの?トリスタでおでこ出してて生徒会でお人好しでむっつりスケベの」
『トリスタでおでこ出してて生徒会でお人好しの衣更真緒なら知っているがむっつりスケベの衣更真緒は知らない』
「ま〜くんってむっつりなんだよ〜」
衣更真緒よ、君の知らないところで君の幼馴染が大変まずい事を僕に教えているぞ。
衣更真緒よ、僕は君が不憫で仕方ないよ
「ま〜くんって人をジロジロ見るタイプだから」
『それ言って大丈夫?僕の中で衣更くんのイメージが効果音付きでどんどん崩れていくのだが』
「だいじょ〜ぶ」
朔間凛月を敵に回したくないと思った
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年4月17日 23時