��. ページ36
「姫様、聞いていますか？」
『ﾌﾟｲｯ』
「…無視しないでください」
『僕は此処に居たくないです帰りたい』
「あなたが帰るべき場所は此処です」
『ん？じゃあ還りますが？』
「何故分かってくださらないのです、姫様」
自分がどんな人の子どもであるか、それを知ったのも義父のことを知った頃の話。
元々は何かに執着しているわけでもなかったし、別に連れ戻されようがどうでも良かった。
でも今は、話が別だ。
心から大切な人達がいる、心から愛している人がいる。
それなのに、無理矢理国に決められた結婚なんて誰がするものか。
「明日が婚儀を行う日ですからね、それまでに…」
『…全員の記憶操作…？』
「何恐ろしいことを言ってらっしゃるんですか？」
僕はお姫様なんて柄でもないのだ。
そんなものであるくらいならば、国全体の人々の記憶操作をしてでも此処から逃げ出してやる。
「私は少し出ますので、心の準備をしておいてくださいね」
『嫌ですが』
そう言うものの、無視して出て行ってしまう。
…外はもう暗くなっていて。
明日が僕の18歳の誕生日で。
来るな、来るな、時間など止まってしまえ…そう願っていても、時間は過ぎていく。
母を王女に出来なかった分、僕のことは無理矢理にでも王女にしてしまう気らしく。
最悪な国でしかない、と思うのはきっと僕が他に幸せを見つけてしまったから。
『…帰りたい、フロイドさんに、会いたい』
やっぱり周りの記憶操作しかないのかな。
そう思いながら窓の外を眺める。
…もし明日、本当に結婚しなければならなくなったら。
それを拒んでしまおう、自分を殺してでも…
「姫様！」
『…なんですか』
「夕焼けの草原の王子様が、明日の結婚のお祝いに来てくださいましたよ！」
『わざわざ前の日のこんな時間に？』
おかしいでしょ。
そう思った時、ふと思い出す。
…王ではなく、王子様？
夕焼けの草原…？
『…いやまさか、そんなはず…』
「そのまさかだ」
そう言いながら入って来た男の人は、僕にごちゃごちゃ言い続けた世話人のような人の首元を叩いて眠らせる。
「とっとと出るぞこんな所、俺はとっとと帰ってとっとと寝る」
『…レオナ先輩…』
其処に居たのは、いつもより少しだけ正装をした、レオナ・キングスカラー先輩だった。
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Runa☻ - このお話最ｯｯｯｯ高に大好きで尊くて作者様天才ｯｯ！！！！ (4月30日 12時) (
レス) @page41 id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ないたわぁみんなカッコ良すぎるしアズくん…ゆうくん良い男だしレオナさん最高すぎ… (2022年3月23日 5時) (レス) @page41 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
長月 - 本当に最高でした…。いろんな伏線が貼ってあってそれを回収していくのがめちゃくちゃおもしろくて、感動しました！！ (2020年11月13日 4時) (レス) id: 677a311103 (このIDを非表示/違反報告)
名無し6853号(プロフ) - あぁ........この作品は尊すぎます。この作品に出会わせてくれてありがとうございます！ (2020年11月2日 2時) (レス) id: ce469f6b4f (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 邪魔すんぜ、ジェイド最推しの者です。いや､､、この小説は､､、神っすね (2020年10月23日 16時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
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