染まれ染まれ。 10 ページ11
「いや、一松が可哀想だな、って思ってさ」
「何でよ？」
そう返すと、チョロ松はおそ松の顔を一瞥してから、目線を逸らして答えた。
「……だってさ、独占欲を感じたいという馬鹿のせいで、あんな焚きつけられちゃってさ。全部が全部手のひらの内だなんて。僕だったら絶対やだね」
「えー、別によくね？ 俺、あいつに写真撮らせてるし盗聴もさせてるよ？ 同じことやっても良くね？」
「兄さんのはやりすぎ。てか何で知ってんの……」
「だって好きな人のことだもん！」
きゃは、なんて効果音とハートがつくような感じで発言すると、チョロ松がゴミを見るような目で見てくる。
「いや、可愛くないからね。ほんっと、馬鹿が権力持ったら困るわー」
「何、ご不満？」
試すような表情で問いかけると、チョロ松は真面目な顔で言う。
「実力が伴ってるから困るわ」
チョロ松の答えに満足してにこ、と笑う。
「でしょー。てかさ、お前本当に一松のこと可哀想だと思ってんの？」
チョロ松はこちらに目を向けずに、当然という顔で答えた。
「可哀想でしょ。自分の方が執着してるつもりなのに、実は相手の方が執着してるなんて。あいつ承認欲求強いからねー、カラ松じゃないけど、人を愛する自分で自信を持ててるのに、相手の方が強いなんて事実。報われなさすぎて、本当可哀想」
「……やっぱ俺、チョロ松のこと好きだわー」
「はあ？ 何、急に。そう言うのは一松に言ってあげなよ。てか、ほら仕事。手動かして」
「えー、めんどーい」
不満げな声を上げるがチョロ松は無視して指示を飛ばす。
しょうがない、と書類のサインをする手を動かした。
『＿＿俺の一松に存分に殴られてね』
敵の男に顔を近づけたときに言った言葉が浮かぶ。
今頃あの男は顔が潰れているだろうな、と考える。一松は容赦が無いから。
男は可哀想だが、結果には十分満足していた。後はこれで。
「一松が告白してくれれば最高なんだけどなあ」
「手え、動かせや」
「いて」
チョロ松から本を使った打撃が頭に飛んでくる。
「もー、チョロちゃんったら暴力的ー。何、ＤＶ？ ドメスティックバイオレンス？」
そうチョロ松に言いながら、おそ松は思う。
(早く俺色に染まってくれないかなー)
今よりももっと濃く。俺以外いらないと思うように。考えられなくなるように。
「だから手え動かせって」
チョロ松の拳骨がおそ松の脳天に向かって振りかぶられた。
ある意味、執務室は平和だった。
Fin.
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野口 - 今回のお話は、なんて言うか、さすが兄さんみたいな感じで、かくなるうえは！新星病みこわかわいい！ 次回のお話もとても楽しみにしてます！ (2017年11月14日 22時) (
レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 読むの遅くなりましたが、今回も最高でした！パーカー松本当に好きで、自分好みの文章を書いてくださるAsterさんに、自分好みのお話を書いていただいて本当に嬉しいです！ (2017年11月14日 22時) (レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» ありがとうございます！ 更新が遅くなって申し訳ありません！ 今回の話は全然自信が無いです……。時間を見つけてぼちぼち執筆していきますのでよろしくお願いします。 (2017年8月15日 18時) (レス) id: 6f6df49f3d (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新作おめでとうございます！ (2017年1月19日 18時) (レス) id: 9a188fa29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2017年1月13日 22時
