【オリオンの刻印】間違えて日本代表に選ばれちゃった系女子、世界を相手に奮闘する。その２

その６９：ノックは入室の鉄則ですよ ページ24

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「みんな！ 最後まで諦めず、よく戦ってくれたな！」

「この試合……円堂が風神雷神ゴーストを生み出せていなかったら、負けていたかもしれない。本当にありがとう、円堂」



試合終了後。

イナズマジャパンの控え室では、無事に試合が終わったこと、そして何よりも勝利できたことを祝して、キャプテンである円堂が仲間たちに明るく声をかけていた。

そんな円堂の言葉に、風丸は神妙な面持ちで口を開く。彼はいつでも冷静だ。勝利を収めたばかりのおめでたいこの時にも、感謝の言葉は忘れない。



「いや、風神雷神ゴーストは俺だけの力じゃなかったさ。ありがとな、夏未！」

「ふふ。それじゃあ、皆さんもどうぞ」



そう言って夏美が選手たちに差し出したのは、彼女が土産として持ってきた例の三色団子が大量に乗せられたいくつかの皿だ。ほたるは既にベンチで数本貪り済みだが、それはここだけの話にしておくとしよう。

思わぬサプライズに、控え室にはわあっと明るい声が上がる。そんな控え室の和やかな雰囲気とは裏腹に、その端では緊迫した雰囲気を漂わせながら趙金雲に猛抗議をする鬼道の姿があった。その隣には、風丸の姿もある。



「──監督は知っていたんじゃないんですか！？ 一星が何らかの組織から送り込まれた存在であることを！」

「いいえ、詳しいことは知りませんよ？」

「俺たちには知る権利があります！ ヤツの正体を……！！」



稀に見る感情的な彼の姿を、ほたるは円堂たちの輪に混ざりちゃっかり団子を口に含みながらそっと見守る。冷静沈着だとばかり思っていた彼の思わぬ姿に、興味でも惹かれたのだろうか。

そうこうしているうちに、今までずっと口を噤んできた久遠が、どんどん熱が入っていく鬼道の言葉を制するように「鬼道」と彼の名前を呼ぶ。

鬼道もまた「しかし……！」と話を続けようとするも、「いかなる理由があろうと、監督に意見するのはチームの規律を乱す行為だ」と“規則”を持ち出し諭されてしまった。



「落ち着けって、鬼道！」

「……だが、このチームに裏切り者がいるのは事実だ」

「裏切り者、か……俺は一星が本当に悪い奴とは思えないんだよなあ」

「なんだと！？ アイツは豪炎寺を手にかけた奴の仲間なんだぞ！？」


「「──ええっ！？」」



円堂と鬼道の交わした会話から引き出された灰崎の言葉も相まって、いよいよ混沌としてきた控え室の雰囲気を一瞬にして静寂で塗り替えたのは、ガチャリというドアノブを捻る音と共に聞こえてきた「全員その場を動くな！！」という聞き覚えのない声だった。

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