第四話。 ページ4
学校へ向かう通学路を歩く。
がやがやとうるさいくらいの街並みをBGMに、
ぼーっとしながら歩いていく。
こんなところも、モブっぽい。
今日も人々の胸元にはキラキラと輝く宝石がある。
こんな能力。
あったって意味ないのに。
能力をつけるなら、もっといいものをつけてくれたらよかったのに。
こんなの、人に言ったら気味悪がられるだけの能力なのに。
一体どうして私はこんな能力を持って生まれてしまったんだろう。
もしかしたら、この世界のどこかに
私と同じように、おかしな能力を持った人がいるのかな。
その人は、私と違って成功しているのかな。
もしも、なんて私の想像であって、意味なんかないけど。
不意に、すれ違った人の宝石が、怪しく光った。
「！」
あれは。
私は、”あれ”を知っている。
少し色褪せていて、どす黒い色が混ざった宝石。
”あれ”は、自分の才能を悪い方向へと使っている人の特徴だ。
私は足を止め、先ほどすれ違った人の背中を見送る。
…どうしよう。
あの人は、きっとこの後何かをする。
私にある選択肢は二つ。
あの人を止めるか、このまま知らないふりをする。
…そりゃ、なんの才能もない私に、あの人を止めるなんてできるわけないけど。
でも、本当に、このまま知らないふりをしていいの…？
早く。
考えろ。
時間はない。
あの人が行ってしまう前に。
考えるんだ。
今朝のニュースが、頭をよぎった。
…確か、隣町で少女連続殺人事件があったはず。
その犯人は捕まったけど、ずっと容疑を否認している…。
もしかしたら。
でも、どうやって？
もし、はあくまで私の想像に過ぎないんだろう？
根拠はない。
能力のことだって、悪いことをしているってことしかわからないじゃないか。
それを他人に話す勇気も持ち合わせていないだろ。
でも、でも、
ここで、勇気を出したら…少しは私、変われるのかな？
ちょっとだけ。
ちょっとだけ、勇気を…。
そんなことを思った私は、そこで考えることを放棄した。
勇気もくそもない。
私はミステリー小説の主人公みたいに頭が良いわけでもないし
頭の回転が速いわけでもない。
私の考えは全て私の想像の中の話であって、
根拠があるものなんて一つもないのだから。
自分の想像に自信を持つこともできない私の選択肢なんて、
初めから一つだけだった。
私はくるりと向きを変え、学校へと歩き出した。
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キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» 少しでもお力になれたのならよかったです！ (2022年12月12日 15時) (
レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉 - わあ、、。凄い心が軽くなりました！これから、沢山のことに挑戦して自分の得意なことを見つけていきたいです！ありがとうございました！ (2022年12月6日 15時) (レス) id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 私も長文失礼しました…！ (2022年12月6日 9時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» それは普段の生活でなんの役にも立たないけど。でも、少し気が楽になる、こともあるかもしれません。これも私の考えに過ぎませんから、断言はできませんが。桜さんの生きる希望になれるなんて、とても光栄なことですね！ありがとうございます。よろしくお願いします！ (2022年12月6日 9時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» 才能は、自分じゃ見えないものかもしれない。と、今言った全ても、私が考えた一つの説に過ぎません。でも、私は、そう考えた方が楽だから、そうだと思います。そうだと思いたい。だから、桜さんも、自分が楽だと思える考え方を探してみてはいかがでしょうか。 (2022年12月6日 9時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キル坊 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/okitakarum1/
作成日時：2022年11月27日 20時
