番外編3 平穏の中の非日常 ページ10
何時もの様に日々を送っていた。
そんな折、シンが僕に言ったのだ。
「A。子作りしよう」
てっきりお決まりの台詞を言うかと思ったのに、結婚ではなく子作り？
意味が分からない。
シンを見ると真剣そのもので、巫山戯ている様子は一切ない。
まあ結婚の話も、一度も巫山戯てなどいなかったが……
「子作りって、何？」
そう聞くと、シンは驚いて。
「知らないの？子作りってのは……」
「子作りくらい知ってる！何でいきなりそんな事言ったの！？」
シンが勘違いして危ないワードを出す前に言い放った。
するとシンはあっけらかんと言った。
「既成事実を作る為」
……既成事実？
首を傾げる僕を気にせず、淡々と続ける。
「Aが結婚に応じないから、子供作っちゃえば結婚しようと思うでしょ？要はできちゃった婚だよ」
悪びれもせず天使の様な微笑みを浮かべて言うシンに、改めて恐怖を覚えた。
え、てかシンってそんなブラックな事考えてたの？僕の貞操狙ってたの？嘘だろ。
頭が追い付かない僕は、意図も簡単にシンにベットに押し倒された。
「ま、待ってシン……」
止めようとして彼の胸板を押し返すが、ビクともしない。
「大丈夫。子供が出来ても愛せる自信は有るし、俺がちゃんと養うから」
いや、確かにシンは凄い稼いでるけど！
この数日でシンは色んな所から依頼を受け、その全てを経ったの一日で終わらせてしまった。
それからと言うものシン宛の仕事が絶えない。
勿論報酬も支払われるので、気付けばかなりのお金持ちになっていた。
だからと言って贅沢をする気はない。
「結婚しようよ。勿論子作り込みでね」
……結局、結婚に応じようが応じまいが子作りはやらされるのか。
でも今は子作りする気も結婚する気もない！
こういう場合は……
握り拳を作り、容赦なくシンの腹目掛けて振り下ろした。
咄嗟の事で防御しきれなかったシンは、ベットから転がり落ちた。
なんとか貞操は守れた……
安堵していると、下からシンの呻き声が聞こえた。
ちょっと強すぎたかな……
腹を押さえながらベットの縁に手を付くシンは、ぽつりと呟いた。
「逢った時から思ってたけど、Aって結構パワフルだよね」
流石にイラッとしたのでまた拳を構えるとシンは慌てて謝った。
つーか、正当防衛だっての……
僕は溜め息を吐きながら、シンを自分の元に引き寄せた。
「膝枕で我慢してね」
そう言うと、シンはこの上ない笑顔で頷いた。
-fin-
番外編4 不安からの愛を（前編）→←番外編2 独りぼっちの殺人鬼
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望月海(プロフ) - 瑠色さん» わざわざありがとうございます！探して読んでみますね (2018年9月27日 17時) (
レス) id: e37311db21 (このIDを非表示/違反報告)
瑠色(プロフ) - 話題に出ているようなのでお節介に一言。
ルヴァンネさんという方の「人形師」というシリーズがありまして、人形師が主人公のことをずっと旅人さんと呼んでいるのです。
ホラーがお好きなら、おすすめの作品ですよ。 (2018年9月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 04ea405d06 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - てんてこまいのりーさん» その、ルヴァンネ？さんは存じ上げませんが、彼が主人公を旅人と呼んでる理由は、名前が分からず呼び方に困ったので、旅の者=旅人さんと呼ぶ事にしたのです。何か勘違いをさせたのなら申し訳ありません (2018年9月25日 21時) (レス) id: 9ce190e98a (このIDを非表示/違反報告)
てんてこまいのりー - とても描写や設定が上手く、面白いです…！殺人鬼くんにときめきました(笑)本当に申し訳ない事をお聞きします、旅人さんと呼ぶなど、何処かルヴァンネさんの作品に似ていますが、意図的なものでしょうか…？ (2018年9月25日 20時) (レス) id: c26c235155 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - 望月海さん» そうなんですね！私の友達にも僕っ娘がいるので、なんだか親近感が湧きました笑 お答え頂きありがとうございます！ (2018年9月25日 16時) (レス) id: 3a874cc5aa (このIDを非表示/違反報告)
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