【短編集】星紡ぎ【あんスタ】

知らねぇよ、もう！【日々樹渉】 ページ4

不肖、私には好きな人がいます。


「Amazing！今日も宇宙に愛の輝きを！貴方の日々樹渉です…！」


目の前の、この人。

通称変.態仮面。趣味、仮面収集、三奇人…。

変人要素を全て包み込んだ、まぁ真面目な人にとってはすごく大きいゴキブリくらい忌々しい存在だろう。

でも、そんな彼が私は大好きだ。

どこが好きなの？って聞かれると一言で表せない。

でも、この人に不満なことが一つだけある。



「おやぁ…？どうしたんですか？Aさん。黙ってしまって…。つまらなそうな顔を
していますねぇ…。」



そんなことを言ったと思えば、彼が手をだし、軽くスナップする。

そうするとそこには一輪の赤い薔薇。

ねぇ、貴方なら知っていてもおかしくなんてないでしょう？

赤い薔薇の花言葉は愛、情熱、更に一輪だけ渡すことの意味は一目惚れ、貴方に夢中。




そう、この人は鈍感だ。

多分私のこの気持ちには気づいてもいないのだろう。



でも、私は今日、彼にこの気持ちを知ってもらう。

だって…



(昨日、頑張って書いたラブレター…絶対渡す！)



昨日、半ば徹夜で書いた、私の思いの結晶。

…いい返事がもらえなくってもいんだ、だから、思いを伝えることだけはしたい！

そんな思いで、ついに切り出す。



「あの、日々樹先輩ッ！」

「あぁ、そういえばAさん。」



遮られるように言葉をかぶせられる。

え、え、えぇ…。



私が混乱している中、彼は私の顎を軽く持ち上げた。

え、え、こんなことされたら、私…！

まさか、もしかして、これは…き、キス…！？




「Aさん、目が充血してますよ。昨日、夜更かししたんですか？女性なのですから、気をつけなければいけませんよ。」




…は？

途端に気が抜け、直後、怒りが込み上げてきた。

わなわなと体を震わす。



「…ッ、先輩、の、せい、ですから！もう、これ、読んどいてください！」



そう言って、私は手紙を先輩の逞しい胸板に押し付け、ダッシュで逃げた。

全く、愛とかいうくせに全然気持ちわかってないじゃんか…！

っていうか、期待させないでよぉ…！



・


「…どうしたのでしょう、Aさん。」



こちらが驚かされてしまった。

ぽかん、と彼女の背中を見つめる。なんだか顔が赤いようでしたが、風邪なのでしょうか？

…心配ですね。

そういえば、さっき渡された…手紙、読まなければなりません。


「えっと…。」



＿＿＿彼らの思いは、もうすぐ重なり合う。

お弁当【衣更真緒】→←お手を取りましょう【瀬名泉】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す