【短編集】星紡ぎ【あんスタ】

わんこの受難【朔間零】＿＿＿ベリー様リクエスト ページ15

＿＿＿吸血鬼ヤロ〜とA先輩は仲がいい。

「A、A。膝枕しておくれ〜♪」

「もう、仕方ないなぁ……。これっきりだからね？」

「A、美味しいお菓子を貰ったんじゃ。一緒に食べんかのう？」

「はいはい、あーん」

「あーん♪」




「…………おまえら、他所でやれよ！！！」

とある昼下がりの軽音部室、突然キレた俺様の姿に、二人がびくっとして振り返った。

「どうしたの、わん……晃牙くん」

「わんこって言いかけやがったなテメェ！？それより、A先輩……あんまりソイツを甘やかすんじゃね〜よ」

「甘やかしてないよ？」

「無自覚かよチクショウ！！！！」

ついガンッと派手な音を立てて近くのテーブルを殴ってしまった。吸血鬼ヤロ〜とA先輩が「何……？晃牙くんどうしたの……？」「さあ……我輩にも分からん」とかヒソヒソやっているのが横目に見えて、さらにイラッとする。

こいつ……A先輩は、吸血鬼ヤロ〜に異常に甘い。膝枕をしてあげたり、お菓子や昼食を食べさせてやったり……。見てるこっちが砂糖吐くわ。あのスケコマシの言葉を借りるわけじゃね〜けど、まさに「げろげろ」。その上、これで付き合ってないとか言いやがる。何なんだおまえら。

今だって、満面の笑みで「A〜♪今日はAが来るのを待つために、早く起きたんじゃよ。褒めておくれ〜♪」なんて言う吸血鬼ヤロ〜に同じく満面の笑みを向けたA先輩が「偉い偉い♪」と頭を撫でている。

……俺様は出て行くべきなんだろうか。

いや、ここは軽音部室でこのバカ二人の憩いの場じゃねぇ。だから俺様は悪くないし、出ていく必要もない。めんどくせ〜し、放置してギターの調律でもしていよう。

「ふわぁ、ふ……でも我輩、慣れない時間に起きたから眠くてかなわんよ」

「そうなの？私のためにごめんね。寝てもいいよ、体壊しちゃったらいやだし……」

「ふふ、Aはほんに優しいのう♪良かったらAも一緒にお昼寝はどうじゃ？」

「もちろん！ふふふっ、零と一緒にお昼寝なんて嬉しいなぁ」

「我輩もじゃよ〜♪」


「＿＿＿＿＿＿だから他所でやれっつってんだろ！！！！！」


とある昼下がりの軽音部室、響き渡った怒声に部屋中が揺れた。


わんこの受難は、まだまだ続く。

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