R2 26話 ページ26
全身の毛が逆立ち、怒りで目の前が真っ赤に染まる。
木から窓へ突進し、はめ込まれたガラスを蹴り壊し室内へと乱入すると、Aの体をまさぐっていた男達は突然のことに動揺していた
ス「殺してやる...」
まるで他人が発した言葉のような感情を含まないその声を合図に、目の前の敵を怒りのままに殴り飛ばし、蹴り飛ばす。
顔を床に叩きつけ、腕をへし折り、髪の毛を掴んで割れていない窓に向かって投げ飛ばす。
しばらく夢中になっていると、男達が全員血を流し手足を変な方向に曲げながら気絶していることに気がついた
ス「A...」
フラフラとAの元へ行き、目の焦点が合っていないボロボロになった彼女を見た瞬間、溢れそうになる涙を必死に堪えた。
泣いていいのは、俺じゃない
貴『スザ...ク...?』
口元に貼ってあったガムテープを、なるべく痛くないように慎重に慎重に剥がすと、Aは微かに震える声で僕の名前を呼ぶ
ス「A...ごめん...遅くなって本当にごめんね...ごめん...」
必死に謝罪の言葉を述べながら、安心させるように、怖がらせないように、できる限り優しく優しくAを抱き寄せる
貴『ス、ザ...ッッ!!!』
Aが僕の背中に震える手を回す。
どれだけ怖かっただろう。顔も知らない複数の男に体中を触られて。きっとアンドレアスもいたのだろう。今まで自分を好きだと言っていた人間がこんなことをするなんて、どれだけ驚いたことだろう。
...守れなかった。
その恐怖から、絶望から、僕は守れなかった
ス「ここにいるよ...君に酷いことした人はもういないから...大丈夫、大丈夫」
僕は自分のワイシャツを脱ぎ、引き裂かれたブラウスを着ているAに羽織らせた。
普段なら彼シャツでキュンと来ていたかもしれないが、怯えきった表情で僕のワイシャツを握りしめるAにそんなことは思えなかった
ス「とりあえずここから離れよう。Aは何も見ないで。目を閉じていて。ここの後始末は僕がやるから」
僕はAを抱き上げて、彼女の頭を胸に押し当て、何も見えないようにする。
...とても今の理科準備室の血だらけの惨劇は見せられない。
Aも素直にそれに従って僕に顔を押し付けて、目をぎゅっと閉じる。
そうして僕達は理科準備室を後にした
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れい - 応援してます、続き楽しみに待ってます! (2022年1月3日 0時) (レス) @page32 id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
桜喜(プロフ) - 続き待ってます、 (2021年10月17日 10時) (レス) @page32 id: abe8f9632e (このIDを非表示/違反報告)
はくあ - 楽しみに待ってます!! (2019年6月26日 1時) (レス) id: faf6172996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月5日 5時