わるいこ[After the Rain]

11話『安易なヴェール』 ページ11

＊









「はぁー。可愛そうなAこんな世界に毒されてしまったんだね。

大丈夫、君は僕らが正しい道へ導いてあげるよ、君が苦しくない。


幸せな時間に。」









甘い毒を囁きながら一定のリズムで歩き続けるまふまふさん。


台所、リビング、お手洗い、お風呂場に脱衣所。


2階には、客間が2部屋あって、その一部屋を私の部屋として貸してくれた。

そらるさんの部屋と、まふまふさんの部屋









そこまで頭は回ってなかったけれど、

玄関は案内してくれてなかったような気がする。









「ねぇ、A教えてほしんだけどさ。」





「…？」





多分この部屋はまふまふさんの部屋





泣いて、正気を保っていられなくなっていたのか頭がふわふわしている感覚。







「…ふふ、こっち向いてくれたね。

あー、…泣いちゃったからかな。ちょっと赤いね」




ぎぃ、

ぎぃ、

ぎぃ、




ロッキングチェアに乗ったまふまふさんは私を膝に乗せて私の頭をゆっくり撫でている。


ロッキングチェアはまるで赤子を慰めるゆりかごのようにゆっくり揺れる。





暖炉の火はぼうぼうと燃えて、暖かい。






「サンタの世界の結婚は、お互いのプレゼントをお互いに交換するってものなんだ。


僕らサンタは人間にたくさんプレゼントは上げるけど、サンタ同士にあげるプレゼントは一つしかないし、生涯を誓う相手に上げるんだ。」




「…そうなんですね、」



サンタの世界と人間の世界の違いを聞いて、少し変な感じがする




「…人間の世界のケッコンは、どうやってするの？」

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