1話 『黒いリボンのついたプレゼント』 ページ1
*
その日は何も特別寒いというわけでもない。
毎年のように雪は積もり、人々の体温を奪っていくのだろう。
私や、数年前から寝たきりの妹のように。
「…」
ボロくさい扉を閉めればやっぱり隙間から入り込む風は私の頬を撫でてプルプルと私は身震いをした。
貧乏な私にはブッシュドノエルなんてクリスマスのこの時期に買えなくて、部屋を飾り付けるは蜘蛛が造ったリース。
(なんて惨めなんだろう)
『おかえり』
そう笑って私を迎えてくれた妹の声を忘れたことはない。
そっと覗き込めば死んだように眠る妹と…
「…なにこれ」
まるで見せつけるように羽毛布団からはみ出した手に握られているのは黒のリボンが丁寧にラッピングされている妹のやせ細った手に収まっている小箱
その小箱を手に拾えば
かーん
かーん
かーん
「…な、何!?」
まるですべて予定調和とでも言うように、待ってましたと言わんばかりにどこから鳴り出した鐘の音に動揺する。
咄嗟に外に出る。
「…な、なにこれ。」
目の前には黒いサンタクロースの服を着た白いトナカイ。
そのトナカイもリアルな大きものではなくマスコットのような可愛くデフォルメされたトナカイ。
「ぬ、ぬいぐるみだよね」
そう言って後ずさりする私は何かにぶつかった。
「…っ」
急いで振り向こうとしたら黒い袖に閉じ込められた。
「みつけた」
心地よいソプラノが響いた。
2話『A Black Santa Claus is coming to town tonight.』→
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さく - 更新止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2019年7月9日 8時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ネユ - つづき待っております!\(・Д・)/ハヤクー (ごめんなさい) (2019年4月4日 22時) (レス) id: 12ff4f244e (このIDを非表示/違反報告)
ちうんと(プロフ) - 夕日さん» 面白いと言ってもらえて光栄です!本当に更新しない日が続きますがどうか続き待っててください!! (2019年3月27日 22時) (レス) id: 78a6b0197e (このIDを非表示/違反報告)
夕日 - めちゃめちゃ面白かったです!!不定期更新でもぜんぜん構いませんので!続き楽しみに待ってます!! (2019年3月19日 23時) (レス) id: d37e8943fb (このIDを非表示/違反報告)
ふうら - ちうんとさん» そうですね、ソファーは……放置で大丈夫です!(^ω^)(((( (2019年2月9日 13時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちうんと | 作成日時:2019年2月8日 1時