タイミングが良すぎる人 ページ38
そして太宰さんの仕事部屋兼私の仕事部屋へ帰り途中、妙に人の視線を感じたのだ。服装が変だったろうかなんて考え(太宰さんが用意してくれたものだが)、トイレの鏡で自分を見てみれば──頸元に、赤い鬱血痕が二つ。は、と声が出た。
一つは恐らく先程の中也さんのだろう。妙に痛かったのはこういう訳かなんて納得しかけるが、もう一つは全く身に覚えが無い。一体誰が。
そう思っても昨夜のことは全く記憶がないし、流石に気づいてしまった後に晒しながら歩くというのはハードルが高すぎるので、手で隠しながら帰る破目になった。
その後はまぁ、私が昨日会った記憶があるのは三人だけだし、その中でもっとも近しい人物は太宰さんである。部屋に入るなり問い詰めてみれば、薄い笑みを浮かべられる。その反応で誰がやったかなんて丸わかりである。
何だってこんなものを、と手を未だ当てながらぼやいた。とにかく消えるまでは包帯か湿布でもしておく他なさそうだ。こんな露骨な場所にやるのは物凄く嫌だが、それでもそのままを晒すよか。
『あ、それと……、中也さんに会って伝言を』
「伝言？」
『好き勝手やったら嫌われるぞ、と』
「ふぅん」
その瞬間、私の一瞬の隙を突き、太宰さんが私の首を押さえていた手を取った。刹那に彼の瞳が真っ黒な感情に塗り潰された。それが何かを見るよりも前に、あんな細腕のどこに力があるのかと訊きたくなるぐらいの強さで引き寄せられる。
間近に太宰さんの綺麗な顔があったけれど、それよりもその無表情が強烈過ぎて何も云えない。
云わない。
『ちょ、っと……どうし、たんですか？』
「──」
『あの、太宰さんっ、』
「──」
どれだけ言葉を投げかけたって無表情で私を──私の首を見つめ続ける彼に、私は堪らなくなって『離してっ、ください！』と叫んだ。そこに至ってようやく、太宰さんが口を開く。
「ねえ、此れ、一体誰にやられたの」
底辺を這いずる様な声。一瞬誰の声か分からなくなるぐらいの怒気を孕んだその声が口から飛び出ると共に、彼が私の手を強く握る力が比例して強くなり、本当に骨が折れるんじゃないかってぐらいギリギリと締め付けられて。激しく早鐘を打つ鳴る心臓のまま、中也、さんです、と。
……表情が消えた。人形の方が人間らしい表情なくらいで、石のように無機質なそれが譫言を紡ぐ。凭れかかって来られた体重に耐え切れなくなって、私が倒れた。それに覆い被さって来た太宰さんは、ひどく脆そうで、
──その瞬間。
「失礼するぞ、太宰。凪は居るか、の──」
「……え"」
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (
レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います！其方もお体に気をつけて下さい！ (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい！(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います！此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします！ (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2019年2月24日 21時
