部下のこんなものを見たらそりゃあ石化する ページ39
姐さんは完璧に情事前のよな格好をした私達を見て、ピシッと固まる。太宰さんは速攻で私から跳びのき、ダラダラと冷や汗を流した。
少し、否かなりざまぁ見ろと思うのは仕方が無い。勿論私もすぐさま太宰さんから離れて距離を取った。流石にそこまで精神ができている人格者ではないのだ。
「いやあの、姐さん誤解です、その」
『この人私を襲おうとして来ました!』
「ちょちょぉお!?」
普段の私と同じくらいの奇声を発して太宰さんが焦りを見せる。流石の彼も紅葉姐さんを前にしてこの不利な状況下ではそうする他なかったようだ。
ニコニコとした笑顔のまま「太宰、それはそれは並々ならぬ云い訳があるのじゃろう? 安心せい、後で全て聞いてやる」と云った。そのまますーっと太宰さんの方に近づいて行って、首根っこを乱暴に掴む。げぇっと呻き声をあげた太宰さんに黙れと一言告げ、道端の吐瀉物でも見るような顔で彼の頭をスパァンと叩いた。
「待って、ちょ首絞まって」
「凪よ、
『全然大丈夫です!』
太宰さんはずっと云い訳めいたことを口走っていたが、姐さんの華麗なるスルースキルで全て無視されていた。流石にそれには苦笑するしかなかったが、再三云うようにさっきの今で彼を簡単に許せるほどできた人間じゃない。
……まぁ、有り体に云えば、怖かった。何を考えてるのか判らなかったし、それに彼が本気になれば私なんて簡単に組み敷けるという事実も、やはり恐怖を感じさせるものでしかなくて。
暫く経つと、不安そうな顔をした姐さんが戻って来た。大丈夫だったかの、との言葉に笑顔で『はい』と頷いた。その答えに少し微笑んだ彼女が、私の頭を振異に撫でた。
「……彼奴も、必死なのじゃよ。まだ子供な癖に大人ぶって──だから、嫌いにはならないで欲しいのぅ」
その言葉に、一瞬キョトンとする。それを数回頭の中で反芻させれば、自然と答えは出たも同然だった。はにかむように笑みを浮かべて、『大丈夫です』と告げる。今度は姐さんがキョトンとする番だった。
『嫌いになんかなりませんし──あの人を一人にだって、させませんよ!』
「……あ〜、やはりお主は愛いのう! 彼奴らなんかには勿体無いぐらいじゃ!」
そう云って、ギュッと抱き締めてくれる。少し痛かったけど、今は其れがとても心地良かった。着物越しの体温が、ひどく温かかったからだと思う。
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時