非道すぎて引く ページ19
……し、失礼します、となるべく震えないように気を付けた声でドアを開く。室内を見回すと、太宰さんが不機嫌そうな顔で座っていた。
うわあ矢っ張り怒ってるよなぁ……。気弱になった精神を何とか奮い立たせ、どもりつつも太宰さんに声をかけた。
『太、宰さん』
「……凪ちゃんか、ちょっと此方来て」
太宰さんの前に立ち、深呼吸する。口を開いた。
そしてそのままスライディング土下座をして頭を下げ、『っ誠に申し訳御座いませんでしたあ!』と頭を地面に擦り付けた。プライドなんて何の意味もないものは太平洋に重りを付けて捨てて来た。代わりに自分の命を拾い上げる方が大事である。
しかし、何故か太宰さんは「え、何が?」ときょとんとした様子で云った。
見つめ合う事数秒。
『……え、否あの太宰さん、私がやつがれ君の事助けたの怒ってるんじゃ……?』
「やつがれ君……? ──ああ、芥川君か。別に怒ってはいないさ」
柳眉を少し寄せた太宰さんは、すぐにいつもの笑みを浮かべて否定した。私はほっと胸をなで下ろす。それと同時に、何故彼が先程怒っていたのかという疑問が噴き出た。
そう問うと、彼は少し目を見開いた後、私に向かって「そんなに怒ってるように見える?」と問い掛けて来た。私はこくりと頷いてそれに答えた。
……あぁ、と太宰さんはその返答を聞き背凭れに大きく凭れて「だから構成員の子達が妙にビクビクしていたのか」と呟く。
この時間に太宰さんに居合わせた皆さんお疲れ様です、と私は心の中でそっと手を合わせた。
「ん〜と、ねぇ。正直に云うと……」
太宰さんは一回言葉を切った。焦らさないで欲しい。その私の心の中を読み取ったのか、太宰さんは云い辛そうにしながらも口を開いた。
「うちの首領がね、君に会いたいと云ってきたのだよ」
『……済みません、もっかい云ってくれません? ちょっとよく聞こえませんでした』
「だから、首領が君に」
『アッ何でも無いですやっぱ黙ってて下さい』
は? いや……は? 何故? 待って待って意味分からんと独り言を呟き始めた私の気持ちを、恐らく毛ほども考えないで太宰さんが「凄く不本意だけど、命令は絶対なんだ。行ってらっしゃい」と告げながら私のことを少しずつ部屋から押し出す。
いやだ絶対死んでもこの部屋から出ない、なんていう決意はニコニコ顔の彼の圧力の前にぺしゃんこになった。
無情にも閉められた扉。
そして私は、太宰さんに聞かなければならないことがあるのを思い出した。
『部屋、何処やねん』
ロリコンがトップというのは本気で終わっていると思う→←ヤブ医者になる前の夢
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時