どんな起き方だよ ページ17
……マフィアの手当てって、結構普通なんだね。私はやつがれ君の横たわるベッドの横で、呑気にもそんなことを思った。
そして視界の中に、やつがれ君の指先がピクリと動いたのが見える。バッと身を乗り出すと、苦しそうに呻いたやつがれ君。あんまり動かない方が良いよと告げるが、彼は何故かぼうっとしていた。
と思ったらすぐさま上体を起こす。いやもっと普通に起きろよ。
太宰さん、と叫んだ後に、今自分がいる場所にようやく気付いたかのような顔をしたやつがれ君は、ハッとして辺りを睥睨した。目つきが半端ないからやめら方がいいよと云おうとしたけど、殺されそうなのでやめておく。
太宰さんはいないよと伝えると、貴様は、と物凄い目力で睨まれた。警戒されてるなぁと苦笑を零しつつ、『暁凪、太宰さんの補佐みたいなもんさ』と云った。数秒後にこの時の自分をぶん殴りたくなることを私は知らないまま。
「……太宰さんの?」
『うん。──い"ッ!』
刹那、壁に思い切り叩きつけられた。肺の中の空気が残らず出る──何、何がどうなって──私の手首、足首に巻き付いていた黒い布のせいだ、それがギリリと痛いぐらいに締め上げていく。抵抗など僅かも許されずに、壁に磔にされる。
『いた、痛いっ、』
「何故だ。何故、お前などが!」
物理的にさえ感じる圧力が私に当たる。殺気と云うには、余りにもごちゃ混ぜになったモノが。それを真正面で食らった私はひとたまりも無く、体の力が抜けて行く。
私の意識が朦朧して、最後に、
その女が気を失うと、芥川は羅生門を解いた。彼女が受け身も取らずに地面に倒れるのも構わずに、芥川は起き上がろうとする。丁度その時、彼女が壁に叩きつけられた時の音を聞きつけた白衣の男性が扉を開けた。
何があったと云おうとした彼だが、その光景を見て瞬時に状況を理解した。呆れたように溜め息を吐いて、彼女を介抱する。それから芥川を眉を歪めたまま睨んだ。
「あんたなぁ、この子はあんたを態々運んで来てくれたんだぞ?」
「──何?」
「本当だよ。取り敢えずこの子此処に寝かせとくからな」
頭を振った男性が部屋を出ると、芥川はその女をまじまじと見た。自分よりも年上そうだが、何処か間の抜けた顔をしている。……先程の苦しみもあってか、それは随分と苦し気にゆがめられていた。
慥かに太宰が芥川を此処まで運んで来る事はあり得ない。確実にそのまま放置するので一度出血多量で死にかけた。──なら、本当にこいつが。
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時