【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

あなたも言えないんだね、一生。/原一哉/一方通行 ページ11

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「やめとけ」って言われても、やめられなかった。




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私は恋をしている。
好きな人...同じクラスで同じ保健委員会の原くんには、好きな人がいる(らしい)。


101パーセント、望みの無い恋だ。



『やめとけ』『傷つくだけだから』、うんそうだね私もそう思う。

なのに 度重なる忠告を受け入れられなくて、ずっと。ずるずるずっと、好きなまま。




きっかけはたぶんつまらなくて単純なこと。


風邪を引いていた休み明け、ポスターを張り替える委員会の仕事の四分の三を、原くんが代わりにやってくれた、という。


しんどいんでしょ、と見透かしたような表情。無言で頷けば、『じゃーね、後はやっとくから』。




･･その瞬間、見事に落とされたわけで。
熱はないのに顔が熱くて、赤さが気になって、マスクをつけた。





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―しばらくして判明したその日の優しさの真相は。




“『保健室の臨時の先生、原の知り合いってマジ？』”



“『知り合いってか、幼馴染みたいなね』”



“『付き合ってたりすんの？』”



“『いや？俺の片思い。向こうは付き合ってるヤツいるし』”




クラスの男子たちが、まじかよーがんばれよー、と励ましていた。
原くんはまるで他人事のように笑って。



『ま、テキトーにがんばるわ』



どうでもいい話のように、完結させた。



本当はどうだってよくないし、適当なんて不適切だろう。



そこからまた話が変わって わちゃわちゃと繰り広げられる雑談。
前髪で隠れたその瞳はどんなふうに、先生を見つめているのだろう。



背筋がしゅんとしていて綺麗な、その人を思い浮かべた。





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