0.5「忍になりたいと思った日」 ページ2
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わたしが木の葉に来たのは5歳のころ
病院で目を覚まして、母の死と、違う国に来たことを知らされた。
当時のわたしはまだ幼く泣いてばかりいた。
急に母は居なくなって、誰も側にいてくれない。
たまに様子を見に来てくれるのは看護婦さん。
いつも誰かに殺されるのではないかと怯えていた。
ある日火影様という、ここで1番の偉いおじいさんが来た。
火影「傷はだいぶ癒えたようじゃの。名は…Aじゃったか」
『おじいさん、だれ?』
火影「わしはこの里の長じゃ」
『おさ?』
火影「ホッホッホ。わからんよのぅ。この里の人々をいちばん守る責任のある人のことじゃ」
『守る…。まずしいひとたちも守るの?』
火影「そうじゃ。完璧にはいかんが、おぬしの暮らしていた国よりずっと安心して暮らせるじゃろう」
『そうなんだ…じゃあお母さんもここにいれば安全だね』
やっと怯えなくていいんだ、と思い笑顔になった。
火影「…Aよ。最初に話があったと思うが、おぬしの母親は死んだのじゃ」
『…』
生まれてはじめて、静かに涙を流した。
日々死ぬかもしれないことは身にしみて感じていた。
希望なんてなかったから、死んだら終わり、こんな日常がこの世にあるなんて知らなかった。
大きな後悔に苛まれる
『お母さんがあと少し生きてたら、ここでいっしょに…あんぜんにいられたのに』
火影「辛いのはわかる。じゃがの、この里も戦争を経験おる。里の者たちもみな同じ痛みを抱えているのじゃ。残念ながらまだ災いは起きている」
『あんぜんじゃないの?』
火影「完璧じゃないというたであろう。生きるためには守られるだけでなく強くなるのじゃ」
『どうしたらつよくなれるの?』
火影「忍になるのじゃ。おぬしと同じ歳の子どもは来年アカデミーに入る。強くなれば、今度は大切な人を守ることもできる。どうじゃ、おぬしもアカデミーに入らんか?」
『大切なひと…、お母さん以外にいない』
火影「心配せずとも必ず大切な人ができるじゃろう。わしはこの里の者がみな家族だと思っておる。みな大切な人なのじゃ。もちろん、A。おぬしもじゃ」
『わたしに、新しい家族…』
そんなことあるわけない。そう思いつつも、こんな風に考えられる火影という人物に尊敬の意を抱いた
火影「そうじゃ。アカデミーに入れば友だちができる。その友だちだって大切な家族になるじゃろう?」
『わたし……アカデミーに入ってみたいかも』
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作者名:赤成 | 作成日時:2019年2月25日 11時