五十六話 胡蝶の思い ページ11
「太刀川さん、今まで貴方に突っかかってばかりでごめんなさい。」
「別に気にしてねぇよ………しのぶ…無理すんなよ。」
「!?……べっ、別に…無理はしていませんよ?」
「俺は姉ちゃんいねぇからお前の気持ちはよく分かんねぇけど無理してることは分かる。」
いきなり名前で呼ばれてドキッとする。それに太刀川さんは昔から妙に鋭い。
そう、私は無理をしている。四六時中笑顔なんて昔の私じゃ考えられないし私の心は笑ってない。ずっと憎悪の炎が燃えている。
無理をしていないわけが無い。
でも姉の思いを受け継ぐ為に私は無理をしないといけない。姉の好きな笑みを浮かべて鬼との和解を求めなければならない
だから彼には甘えちゃダメなのに…
「太刀川さん……私が笑っているのは変ですか?」
「なんで?可愛いじゃん?」
「!」
私が姉の真似をして皆戸惑っていた。もちろんすぐいつも通り接してくれてはいたがよそよそしかった。
けれど彼だけはド直球で私の笑顔に突っ込んできてそのあとは今までとまったく変わらない対応をしてくれた。
私はなぜか彼の前だけなら姉の真似をしていても胡蝶しのぶとしていれている気がした。
"可愛い"とか馬鹿正直な彼は誰にでも言うだろう。でもそんな軽い言葉に胸を小さく高鳴らせる私はもっと馬鹿だ。
「なぁ、胡蝶妹。」
「はい?」
「俺の前では気の強い胡蝶しのぶでいてもいいぞ。」
「えっ?」
唐突に彼がそう言った。それは魅力的な誘惑だった。
決心した筈なのに揺さぶられる。本当になんなんでしょう
「私、生意気ですし…」
「そんなん今更だろ。俺は昔の胡蝶妹も嫌いじゃないぜ。」
「………じゃあ貴方の前だけ…私は胡蝶しのぶでいていいですか?」
「おう。」
あぁ……本当に悪い人。
私の捨てきれなかった"胡蝶しのぶ"をあっさり拾って優しさで塗り固めてしまう。
その甘い優しさに私が溺れていってしまうとも知らずに。
「太刀川さんの変態詐欺師。はやく捕まったらどうですか?」
「ありのままでいいとは言ったけどそんな攻撃力の高い悪口を言えとは言ってないんだけど。」
私の小さな初恋を奪った責任をとってくださいね。
1248人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まよー - もう神作品です、夜中に笑い転げました (7月13日 1時) (レス) @page22 id: 4ebe815f43 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 夢主のツッコミで笑いすぎて死にそうwww (2021年10月16日 0時) (レス) @page14 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
12777ef7a7fv5w2(プロフ) - 呼吸の名前を出してください。お願いします。 (2021年2月26日 21時) (レス) id: f5ad5d7db2 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 面白すぎる、、ツッコミのキレが半端なさすぎです。 (2020年12月6日 22時) (レス) id: 739f2b6295 (このIDを非表示/違反報告)
朧 - やばいてw 伊黒の恋愛感情=鬼舞辻無惨が藤の花の傍でタップダンスw (2020年11月29日 20時) (レス) id: 30e17e49e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:AOI 3 | 作成日時:2020年3月25日 21時