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4話 「人柱力」 ページ6

「…おい……しい」

本当に。本当に美味しかった。今迄こんなに美味しいものなんか食べたことがない。思わず涙が出たほどだ。


……人なんて、みんな同じ。仲間が一番大事、みんなのことを思っているなどと、声では言っているけれど、実際はみんな自分勝手な生き物だ。自己中心的。自分の欲が満たされないと満足しない。いつもは仲間思いでも自分の命が危険だと分かった瞬間仲間を捨て、逃げ出す。みんな同じ。そう思っていた。だけど………

この人なら……オビトなら…………
こんな私でも見捨てないかもしれない。




次の朝。

瞼をそっと開いた。
あれ?此処は……
なんで私はこんなフカフカのベッドで寝ているの?そうか。思い出した。昨日私はオビトに拾われ、暁のアジトに来たのだ。

「起きたか。」

部屋を出るとオビトがいた。

「今日はお前について少し調べたいことがある。」

……調べたいこと?
オビトが……この力のことを知れば……
また捨てられる。「恐い」からって捨てられる。お願い……捨てないで。

オビトはアジトを出て、広場に歩いて行く。私もその後をついていった。

「そう言えば、まだ名前を聞いていなかったな。」

そう言うとオビトは私のほうを見た。

「名前なんて……誰もつけてくれなかった。」

オビトの顔はお面で隠れていて見えないが、一瞬驚いたのが分かった。

「……ならつければいい……お前は今日から…そうだな……Aだ。」

Aか……いい響きだなあ。オビトはどうやってそんないい名前を一瞬で思いついたんだろう…。ニコリと私は微笑んだ。

「じゃあA。早速だけど、お前はどうやって…………あの里を潰した。」

うん。ズバッと来るねぇ。

「重力だよ」

「重力?」

「ウン。よく分からないけど、私には重力をアヤつるちからがあるらしい。」

話慣れてきたのか、少し発音も良くなってきたと自覚する。

そう。私は重力を操れるのだ。いや、今の時点では操れる訳ではない。里を潰せたのも、里のものへの強い憎しみでコントロールが出来なくなり、暴走してしまっただけなのだ。練習を積めばコントロールできるとは思うのだけど……。

「……その力で里が消えたのか…よく分からないが、人柱力ではなさそうだな。」

「じんちゅうりきって…ナニ?」

「一尾から九尾の、尾獣を体に封印した人間のことだ。暁の計画を成功させるにはその九つの尾獣が必要だ…」

「私が人柱力じゃなくて残念だったノ?」

「いや………安心した…」

5話 「真っ赤な瞳」→←3話 「暁」



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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時

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