34話 「親の愛」 ページ37
「お、俺ってばさ、また明日も一緒に遊びたいってばよ!!」
その言葉に一瞬驚いたのか、みんなは目を見開いたが、すぐに笑顔になった。
「おう!」
「今日楽しかったね!!」
「また明日ね!」
「また遊ぼ!!」
効果音をつけるならまさに
パァァアアアアアアッ
とナルトの顔は嬉しさを隠しきれずに笑顔になっていった。
その様子に私も思わず微笑んだ。
よかったな、ナルト。
しかし残念ながらそういう幸せは長くは続かないようで。
「ユウスケ!もう帰るわよー!」
「ちょっと待ってよママー」
「ほら、おいでカエデ」
「父さーん」
一人一人、親が迎えに来る。……これは予想外だったな。親に手を繋がれ、帰っていくみんな。ナルトにとってこの光景は………。
ナルトに目をやると、先程まであった笑顔は消えていて、そこにあったのは…悲しい。悲しい顔だった。
「え、ちょっと、あの子…!!」
「なんであの子と遊んでたのよ」
「あの子とは遊んじゃダメって言ったじゃない!」
「あの子と遊ぶと……」
「あの子は……」
あの子。それが誰なのか、ナルトはもう分かっていた。
「……ねぇ、ナルト」
もうすぐ陽が落ちる頃だった。
「…何だってばよ……。」
「今日……楽しかったよね!みんなと沢山喋れたし、笑えたし……。」
ナルトは木にもたれて地面に座っていた。その隣のブランコに私は座っていた。
……私にはわかる。ナルトが本当に欲しかったのは友達じゃない。勿論友達だって欲しいだろうけど、それよりも欲しかったのは…
……親の愛
普通はあって当たり前なのに、ナルトには無かった。ナルトが持っていないものを目の前で見せつけられたんだから落ち込むのはしょうがないよね……。折角凄く幸せそうだったのにな。
「ねぇ……A……」
ナルトは弱々しい声で言った。
「俺ってばさ……なんで親がいないのかな……」
「………」
「わかんないんだってばよ……みんなは小さい頃から親がいるのに、なんで俺にはいないんだってばよ……なんで俺だけが避けられるんだってばよ……なんで……なんで…」
ナルトは涙をを堪えきれずに震え出した。
「ナルト…」
そう言いながら私はブランコから飛び降りてナルトの前に立った。
「……なろうよ!!」
私はナルトに手を差し伸べた。
「……!」
「この里の誰よりも強く……そして、この里のみんなに……
……認められる存在に!」
それは、自分に向けての言葉だったのかもしれない
私は約束した。……この力でオビトを守ると。だから……強くならないと…いけないんだ……
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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時