31話 「鬼ごっこ」 ページ34
「しかしあれはやばかったってばよ…」
「先生ってあんなに怖かったんだな……」
私とナルトは教室の入口の前でみんなが来るのを待った。
「で、早く来たわけだけど、どうするの？」
「とりあえず、来た人に片っ端から話しかけるってばよ！！」
そろそろ来るはずだけど……
「あれ？今日はやけにはや…」
一人の少年が呟きながら入ってきたが、ナルトの顔を見た途端、黙って通り過ぎた。
「ちょっ、その反応はなんだってばよ！？」
「いや…お前とそんな話したことねぇし…」
……？九尾だから避けたって訳じゃないのか？もしかしたら、子供たちはみんな、九尾の存在を知らないのか？
「あ、いや…その…友達になってくれるかなぁって…」
「え、そんな急に言われても…」
戸惑った様子で彼は逃げるように席へと向かった。
やっぱそんなうまくは行かないか
「待って」
私は少年を呼び止めた。
「何？」
「今日の帰り、校庭に集合ね」
「結局友達はできなかったってばよ……」
ナルトは残念そうに俯いた。あれからみんなに話しかけたけど、みんな同じような答えで、首を縦に振る者はいなかった。
「一応みんな誘ったんだし……今日の帰りがチャンスだ！ナルト！」
「そ、そうだってばよ！！」
ナルトは明るく言ったが、顔から笑顔は消えていた。ナルトがこんなに真剣に友達を欲しがるとは……。まあ…しょうがないか。ナルトは親もいなくて、信じられる人がいなかったから。一人ぼっちになりたくなくて必死なのか。
その日の帰り。数人には断られたが、クラスの殆どが校庭に来てくれた。
「で、何するの？」
「あたし隠れんぼがいい！」
「えーまた？前もそうだったじゃん」
「忍者ごっこ！」
「俺が火影様だ！！」
「火影様は私よ！」
「つまんねぇよ」
「まあまあ、落ち着きたまえ、皆の者」
だから自分の意見にしか興味がないガキは嫌いなんだ。
「今日の主役はナルトだよ？」
私は笑顔でナルトを指すと、一斉にナルトに視線が集まった。
「え？え、あ、ああ。お、俺は鬼ごっこがしたいってばよ！！」
「と！！言うわけで鬼ごっこするよー！私が鬼ねー！！みんな逃げてー！！あと10秒！！」
反対しようとする声を私は大声でかき消した。みんながばらばらと散らばって行く。
「さぁー！ナルトも早く逃げなよ？」
「え？A一人でみんなを捕まえたら日が暮れるってばよ？」
私はﾆﾔﾘと笑みを浮かべた。
「なめんなよ。10...9...8...」
私が数え出すと、ナルトは慌てて茂みへと走っていった。
さてと……折角だしこっちも楽しませてもらいますよ。
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作者名：いっちー | 作成日時：2017年8月17日 23時
